ホンダCMが「宗一郎少年」の夢を体現したワケ 2月後期作品別CM好感度ランキング上位30
昨夏の施策を通してキャンペーンの伝道師となったONE OK ROCKが書いた歌詞は、根の部分でしっかりと企業の想いとつながっている。同じ方向を向いたメッセージを共有していれば、たとえ英語の歌詞が聞き取れなくても直感的に受け取るものが違う。
いくらメロディーや歌声がCMの世界観とマッチしていたとしても他の楽曲では取って代わることのできないストロングポイントだ。
30・60秒とCMとしては長い尺で展開されながら、CMで使われているコピーは「私たちに必要なのは空を自由に走るスポーツカーだった」「自分を、もっともっと連れ出すんだ。Go,Vantage Point.」の2フレーズのみ。思い切って言葉での説明を減らし、視聴者のCMへの集中力を高めることができたのも、この楽曲あってのことだろう。
ジェット機を日常化するという夢
もう一点。なぜ『HondaJet』が街中に現れるのか? 製品を主役にするなら、美しく大空を飛ぶ姿を切り取っても良かったはずだ。しかし、わざわざ自動車で渋滞する交差点を舞台に選んだのにも理由がある。「日常」のシーンの中に突如ジェット機が現れて街から空へと飛び立っていく展開には、近い未来にジェット機を日常化するというホンダの夢が込められている。
視聴者の反応はどうか。モニターのコメントでは「映画の1シーンのような映像、音楽も合っている。何度も見たくなる」「ONE OK ROCKの曲がとてもかっこいい! 突然街中に飛行機が出てきて飛び立つところもかっこいい!」と、映像と楽曲のクオリティーの高さを評価する声が多い。さらには「近未来にはそういう時代が来ることを予想させる」「飛行機を買うという感覚がとても新しいと思った」と同社の夢をしっかりと受け止めた視聴者までいた。
言葉は多くなくとも、企業の熱量は表現できる。むしろ夢や想いは説き聞かせるものではなく、感じさせるものなのだと改めて考えさせられる好事例だろう。
「安全」「安心」をテーマとした技術訴求が増加している自動車CMの現状において、この横並び状態から抜け出すのはなかなか難しい。例えば「自動運転」「自動ブレーキ」といった最先端技術は誰しもの関心を集める要素ではあるものの、クルマのことばかり考えているわけではない消費者にとっては違いがわかりにくい。
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