親の介護を担う米ミレニアル世代の深い悩み そんな自分を救う5つの方法とは?
ミレニアル世代が、心理的にも体力的にも負担が大きくなりがちな介護をこなすために役に立つポイントを5つまとめた。
●1人ではない
レベカ・ビートンさん(21)は、人生のほとんどを母親の介護に捧げてきた。母親は、ビートンさんが生まれた年に多発性硬化症と診断された。
10歳の時には、母親の髪を整えるなど、日常的な行動を手助けしていたことを、ビートンさんは覚えている。17歳で、父親とともに母親の介護を担うようになり、それは昨年12月に母親が亡くなるまで続いた。
「時々、本当に孤独だと感じたことを覚えている。私のような経験をしている人は他にいないと思っていた」と、ビートンさんは言う。
支援団体などは、より年上世代の介護者支援に重点を置いているが、ミレニアル世代は、オンライン上で同世代の介護者とつながることができる。
ビートンさんも、米多発性硬化症協会や、障害者やその家族を支援する宗教組織「ジョニと友人」を通じて支援を得た。
罪悪感を抱えていた
●自身のケアも重要
「罪の意識にさいなまれる」と、ティファニー・マーカムさん(33)は言う。マーカムさんは2015年、認知症の父親の世話をするため、同居を始めた。
今年1月に父親が亡くなるまで、マーカムさんは毎朝、その日の着る洋服を並べてから父親を起こし、着替えを手伝い、薬を飲ませてデイケアセンターに行く準備を手伝った。その間、フルタイムで仕事をこなし、夜帰宅してから再び父親の世話をした。
できることをすべてやっても、マーカムさんは、もっとやれないことに罪悪感を抱えていたという。
「不満だったし、不満で罪悪感を抱えていたことについても、いやな気持になった」と、マーカムさんは言う。
マーカムさんには、セラピーと抗うつ薬が役に立った。また、支援グループに対して、自分の正直な気持ちを話すことを勧めるという。
自らをケアすることは極めて重要だ。介護者が他者に集中し過ぎると、自身のニーズを無視して燃え尽きてしまいかねない。十分に休養し、可能な時には休暇を取ることも大事だ。
●おカネの見通しを立てよう
家族の介護のために休職などを強いられたミレニアル世代は、事前準備がなければ、退職後も含めた将来に向けて自分の資産を用意できないことがあると、非営利団体「全国介護者連合」のグレース・ホワイティング会長は言う。「ミレニアル世代も年を取るのだから、経済的なことを計画する必要がある」
アルツハイマー協会などが、介護者が長期的な家計の安定をはかるためのリソースを提供している。
●差別的扱いを禁じた州法を知ろう
AARPによると、平均的なミレニアル世代の介護者は働いており、勤務時間は週34.9時間だ。だが、介護をしていることで、キャリアのステップアップが遅れることもある。
「ミレニアルは、キャリアを築こうとしている。介護のために休んだり遅刻する必要が生じると、介護が仕事上の役割に影響し始めたことになる」と、前出のルイス氏は言う。
介護者を職場での差別から守る法律は、州により異なる。AARPのサイトでは、介護者の権利について情報を掲載している。
●友人と比較しない
ミレニアル世代の介護者の生活は、それぞれ異なった形で変化していく。他者と自分を比べることは避けよう。
介護を続けるためにオンラインで大学の学位を取得した前出のビートンさんは、友人と異なるタイミングで人生の節目が来ても構わないと、自らに言い聞かせている。
ビートンさんは、自分の母親が永遠に生きる訳ではないと分かっていた。「いまは、これが人生でやるべきことなんだ」と、自らに言い聞かせていたという。
(Andrea Januta 翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)
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