仮想通貨取引所は「新団体」で何が変わるのか 既存の2団体は存続したままでスタート

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新団体の名称や所在地などはまだ未定。正式な設立には1カ月ほどかかる見通しで、人員体制を拡充し、数カ月ほどで本格的な運用を開始する。会長には現JCBA会長の奥山氏、副会長には現JBA代表理事の加納裕三・ビットフライヤー代表取締役が就任する予定だ。

ただ、新団体を設立した後も、実は既存の2団体は存続する。なぜそのような形をとったのか。

登壇者にカンペを見せる担当者。新団体設立のためか、会見の進行はぎこちなさが目立った(撮影:尾形文繁)

その理由について、奥山氏は両団体にステークホルダーや考え方の違いがあったとしたうえで、「資金決済法に基づく仮想通貨交換業者の自主規制は、新団体のものに(各団体の自主規制を)寄せていく形になるだろうが、一方で、自主規制でない部分については、両団体の特徴を消滅させるべきではない」という考えを述べた。

加納氏も「統合の可能性も検討したが、時間的制約がある中、新団体を作って一致団結していくのがスピーディに済むだろうと考えた」。特にJBAの場合、仮想通貨交換業者以外にも、ブロックチェーンの技術開発を主眼にするIT企業が会員として複数参画している。「ここが新団体のほうに入るかどうかなどは、いったん切り分けて考える方向」とした。

優先順位はセキュリティ管理と広告規制

新団体が取り組むべき優先課題としては、セキュリティ管理と広告規制を挙げる。「不公正な市場だと(ユーザー)に思われると、業界全体として良くない。犯罪を防ぐためにも重点的に議論されるべき」(加納氏)。そのほかにも、取り扱う仮想通貨、入出金管理、顧客のクレーム対応についてなど「(精査すべき事案を)言い始めればきりがない」(奥山氏)。

現在、業界には登録済みの交換業者、登録は済んでいないが登録制導入以前から営業している「みなし業者」、今後の事業開始を見据え登録申請を行っている新規業者などが混在している。

新団体では「みなし業者」や登録を目指す新規参入組についても、内部管理の整備やセキュリティ体制構築のサポートを行っていくという。コインチェック騒動で利用者の信頼が揺らぐ中、新団体はどれだけ実効性のある自主規制を設けることができるか。業界は健全化に向けて、ようやくスタートラインに立ったに過ぎない。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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