フロリダ高校「乱射事件」、水面下で進む審議 「隠し銃携帯許可法」が審議されている

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17名の犠牲を出したこの事件の後になっても本気で銃規制に取り組もうとしない大統領と政府の無策に、
地元高校生たちは怒りまくっている(写真:REUTERS/Kevin Lamarque)

フロリダ州南部パークランドの高校で起こった銃乱射事件の翌日、

「精神疾患という問題に取り組まなければならない」

ドナルド・トランプ米大統領はこう発言した。しかし、銃規制に関してはひとことも触れなかった。元生徒ニコラス・クルーズ容疑者が事件の1年以上前に精神科の治療を受けていたことから、問題は精神疾患だと断言したのである。

フロリダ州の地元高校生たちは、17名の犠牲を出したこの事件の後になっても本気で銃規制に取り組もうとしない大統領と政府の無策に怒りまくっている。生徒たちは「変化が起きるまで声を上げる」と息巻き、ソーシャルメディアで訴え、授業をボイコットしてまでデモに繰り出す高校生もいるという。

同じ悲劇が繰り返されても

彼らの怒りは当然のこととはいえ、これまでに同様の事件が何度起こり、同様の声がどれだけ上がったことか。

本記事は会員制国際情報サイト「Foresight(フォーサイト)」(新潮社)からの転載記事です。元記事はこちら

2017年11月、テキサスの教会で起こった乱射事件では26名が犠牲になり、10月、ラスベガスのコンサート会場で起こった乱射事件では58名が殺された。2016年フロリダ州オーランドのゲイ・ナイトクラブでの乱射で50名が殺されても、銃規制など少しも進まなかった。

ニューヨーカーにとっては2012年、コネティカット州ニュータウンのサンディフック小学校で起こった事件はいまだに衝撃的だ。幼い児童20名と大人6名が犠牲になってから、犠牲者の母親などが立ち上がり、銃規制を全米に訴えた。しかし結局、同じ事件が繰り返されているばかりでなく、銃社会アメリカはますます危険な領域に踏み込もうとしている。

今回の事件の舞台になったフロリダ州南部は、引退したニューヨーカーが多く住む地域である。気候が温暖で、生活費も税金も安いフロリダでは一軒家が手頃な値段で手に入るし、ゴルフやテニスを楽しみながら、第2の人生を送るには理想的な土地柄である。しかし、フロリダは殺人や暴力事件、婦女暴行などの発生件数では全米トップクラスに入る。

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