今日からできる「電子マネー」で得する方法 ポイントの「3重取り」で月5000円節約も可能

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ただし、電子マネー決済にもいくつかの落とし穴があります。最終的な支払い時点が「ズレ」るものとそうでないものがあることです。

電子マネーのチャージ方法はクレジットカード経由と、現金を店頭で渡してチャージする方法とがありますが、クレジットカードを介した支払いをすると支払いは翌月以降になり、現金チャージだとその場で支払うことになります。つまり同じ月に使ったおカネであるはずが、支払時期が混在することになるわけです。

通常のクレジットカード利用の場合、臨時に行われる高額出費であるか、携帯電話料金のように定期的な引き落としが行われるものが中心でしたが、電子マネーのクレカチャージは日々の日常的な支出がここに不定期に紛れ込んでくることになります。

「給与振り込み日前で、現金があまり残っていないから、クレカチャージの電子マネーでやり繰りしよう」と電子マネーを乱用し始めると、翌月や翌々月の家計がいきなり苦しくなりますので、なるべく利用額をコントロールしていくことがコツです。たとえば子どものSuicaなども「交通費や食費を考えて月○○円入金しておくからこの範囲で使いなさい」のようにしたいところです。

少額決済が多い点にも要注意

また、おカネを使ったという実感が得にくくなることも注意が必要です。現金を使った感覚が持ちにくいクレジットカードは、それでも高額出費にもっぱら利用することで、心理的には区別することができました。しかし、電子マネーは少額決済に使われることが多いため、決済のたびに重みを感じることが難しくなっています。

小銭を支払う必要がなくスマートな分、「今580円を財布から出して支払った」というようなリアルな「重み」を持てない悩みがあるわけです。2~3%ポイントバックされたとしても、支出が5%以上膨張するようでは意味がありません。電子マネーに切り替えていく場合は、何でも軽い気持ちでレジに持ち込まないよう意識したいところです。

中国都市部では90%以上の決済がスマホで行われているそうです。日本でも近い将来モバイル決済を中心とした世界に移行するでしょう。

そのときになって慌てるくらいなら、今のうちから電子マネーの使い方に慣れておくことをお勧めします。最初は「割安」に飛びついて、使ってみながら慣れていくくらいでいいのです。

まずは毎週4000~5000円くらいチャージして、コンビニやキオスクの買い物を電子マネーに切り替えていくところから始めてみてはどうでしょうか。 

山崎 俊輔 フィナンシャル・ウィズダム 代表 ファイナンシャルプランナー

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やまさき・しゅんすけ / Syunsuke Yamasaki

1972年生まれ。中央大学法学部卒業。企業年金研究所やFP総研を経て2001年独立。全国紙などで連載。著書に『普通の会社員でもできる日本版FIRE超入門』など。

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