ヤマハ、自動車事故で発揮する「音の総合力」 ロシアやEUでの搭載義務化が大きな商機

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楽器のイメージが強いヤマハだが、自動車向けにも「音」で新機軸を打ち出す(ヤマハの掛川工場と音声信号処理に使われる半導体)(写真:工場は記者撮影、半導体はヤマハ提供)

自動車事故が起き、中にいる人が逃げられない。動けない状況だが、周りに目撃者もおらず、通報してもらえない―――。

こうした状況を防ぐため、世界で導入が進んでいるのが、「緊急通報システム」だ。エアバッグ等のセンサーが事故発生を検知したり、車両の緊急通報ボタンが押されたりした際に、自動的に緊急通報センターに発信され、GPS(全地球測位システム)で車両の位置情報が送信される。センターではオペレーターが連絡をとり、救急車が迅速に事故現場に到着する。

このシステムは、2017年1月からロシアですべての新型車への搭載が義務化され、2018年4月からはEU(欧州連合)でも義務化される。現在ではUAE(アラブ首長国連邦)やマレーシアなどでも導入にむけた議論が進んでいる。

「音」をテーマにした事業拡大

そこに楽器大手のヤマハが本格参入する。ヤマハが担うのは同システムに対応した車載通話装置だ。マイクとスピーカーを組み合わせたモジュールで、通常時にはハンズフリー通話、事故などの緊急時には緊急通報センターとの通話を可能にする。

ヤマハといえば楽器のイメージが強いが、これまでも「音」をテーマに事業を広げてきた。

2000年代前半に一世を風靡した「着メロ」のLSI事業がその代表例だ。着メロには再生音の品質向上など、半導体による音声信号処理技術が活用された。現在着メロ事業は行っていないが、その後も音声信号処理技術は様々な製品に広がっている。

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