ヤマハ、自動車事故で発揮する「音の総合力」

ロシアやEUでの搭載義務化が大きな商機

音声会議システムでも音声信号処理技術が活用されている(写真:ヤマハ)

たとえば音声会議システム。ストレスのない双方向会話を実現するエコーキャンセラーや、ノイズを消して声だけを伝えるノイズリダクション技術が採用されている。こうした技術はすでに車載事業にも展開されており、半導体として自動車電装部品メーカーに提供。主に高級車でのハンズフリー通話装置向けに、採用されてきた。

モジュールビジネスに転換

それが、緊急通報システムの義務化によって商機が広がってきた。これまではマイクとスピーカーが別々で搭載されることが多かったが、顧客からは両者を一体として提供してほしいという要望が増えた。ヤマハはこれまで培ってきた音声処理技術を活用し、一体化してもクリアな音質で通話できるシステムを作り上げた。

ヤマハにとっては単に半導体を納めるだけでなく、付加価値の高いモジュール主体のビジネスに転換できる。さらに高級車中心から一般車にも広く採用されることで、量が飛躍的に増える。

ヤマハが開発した通話モジュール。車種によらず搭載できるのが強み(写真:ヤマハ)

ヤマハは2020年に160万台の自動車への搭載を目標とする。これは緊急通報システムの搭載が義務化されるEUとロシアで、同年に予想される新車販売台数の約10%にあたる。すでに日本の自動車メーカー複数社でヤマハ製の通話装置の採用が内定しているという。半導体事業を管掌する藤井茂樹執行役は、「車載事業はこれからの成長市場。楽器や音響機器以外に音の技術をどう展開できるか。車載分野でもヤマハだからできることがあるはずだ」と話す。

2017年度、楽器や音響機器以外の「その他」セグメントの売上高は360億円を見込み、全社の中では8.3%にとどまる。車載事業はその一部にすぎず、ヤマハ全体に占める比重はまだ小さい。

だが今後の広がりが見込まれるうえに、これまでの着メロ、さらに音声会議システムで培った「音の総合力」(藤井執行役)を活かすことができる。車載事業が、楽器や音響機器に次ぐ第3の柱に育つかもしれない。

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