2月22日は「猫の日」全国各地を走るネコ列車 車両デザインから駅長まで「鉄道と猫」の縁

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ここで紹介した車両はアニマル電車を除き、ここ10年以内に登場している。最近の猫人気の影響が大きいのだろう。昨年12月に一般社団法人ペットフード協会が発表した全国の犬と猫の推計飼育頭数によれば、猫が952万6000頭、犬は892万頭で、1994年に調査を始めて以来、初めて猫が犬を上回ったという。

しかし、この数字は猫好きの一部にすぎない。マンションの規定、家族のアレルギー、出張が多いなどの理由で猫を飼えない人は多い。そういう人たちは猫カフェに行ったり、猫柄の衣服や雑貨を手に入れたりして気持ちを満足させているようだ。猫駅長や猫列車もこの延長線上にあるような気がする。

欧米の鉄道やバスで猫を描いた車両を見たことはない。現地で乗り物をキャラクター化するのは「きかんしゃトーマス」など子ども向けアニメーションぐらいで、都市交通は景観も考え機能主義的造形にまとめることが多い。さらに欧米の都市交通は多くが税金主体で運行していることも関係していると考える。

「猫列車」は今後も増える?

東急世田谷線の「招き猫電車」は吊り手も招き猫の形だ(撮影:尾形文繁)

日本の鉄道やバスは運賃収入を原資として走っている。ゆえに過疎化が進む地方交通は多くが苦境に立たされている。その中で観光客を含めてひとりでも多くの人に乗ってもらいたいという気持ちが猫列車につながったのではないかと思っている。

つまり、これは日本独自の鉄道文化と言えそうだ。現に和歌山電鐵は外国人の利用者も多く、ウェブサイトは英語・中国語表示が可能だ。万葉線ウェブサイトも、ドラえもんトラムについては英語や中国語の案内もある。利用者増加のためには国際対応も重要になりそうだ。

今後も猫列車は増えると予想している。和歌山電鐵以外にも会津鉄道芦ノ牧温泉駅(福島県)やひたちなか海浜鉄道那珂湊駅(茨城県)など、鉄道事業者公認の駅猫はいるし、それ以外にも猫が暮らす駅は多い。筆者も小湊鐵道養老渓谷駅(千葉県)、四日市あすなろう鉄道日永駅(三重県)などで見掛けた。

和歌山電鐵のような成功を収められるかどうかは、やはり戦略がカギになるだろう。たま駅長とは違う魅力を発信できるか、斬新な提案に期待したい。ただ地方都市の鉄道事業者は力が限られているので、猫つながりで複数の事業者が手を組んでのプロモーションも試して良いのではないかと思っている。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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