女性の「働き方」に必要な健康問題への配慮 生理の痛み、実は病気かもしれません

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年齢を重ねるとともに増えてくる月経困難症は、働く女性にとって大きな問題だ。単にそのときにつらいというだけでなく、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などの病気が隠れているかもしれないからだ。

特に子宮内膜症は、月経困難症に悩む人の半数近くが罹患(りかん)しているともいわれる疾患。卵巣に発症すると、チョコレート嚢胞(のうほう)と呼ばれる腫れができる。チョコレート嚢胞の患者は卵巣がんに至るリスクが一般に比べて非常に高く、一説には8倍というデータもあるほどだ。

「子宮内膜症が進行して、チョコレート嚢胞が大きくなり、おなかが癒着でガチガチの状態になってからやっと病院に来る。そうなってからでは薬が効きにくく、手術も非常に大変になる」と東京大学産婦人科学講座の甲賀かをり准教授は警告する。

重大疾患のリスクが高い30代

東京大学の甲賀かをり准教授は、25歳になったら産婦人科で検診を受けることを勧める(撮影:今井康一)

痛みが改善せず、子どもを授かりにくくなることも多い。子宮内膜症の発症が増える30代は、妊娠・出産、子育てに忙しいうえ、キャリア形成の点でも重要な時期で、自分の健康は後回しになりがちだ。このため、治療が十分に行えず中途半端になるケースも多いという。

月経困難症は子宮内膜症の予備軍ともいえ、この段階のうちに治療することが肝心だ。昔は治療法の選択肢が少ないうえ治療薬による副作用も多く、病院に行っても仕方がないと考える女性が多かった。だが、現在では治療薬の種類も増え、患者に適した薬が処方される。

もう1つ、あまり知られていないが、子宮頸がんも30代に発症ピークを迎える、働く女性を襲う深刻な病気だ。

子宮頸がんの原因であるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を防ぐワクチンはあるが、現在の働く女性でワクチン接種済みの人はほとんどいない。

この病気の怖いところは、早期発見で手術しても流産や早産をしやすくなること、進行がんの場合は子宮と周辺の臓器を摘出することも多く、妊娠・出産をあきらめざるをえなくなるだけでなく生活の質も低下することだ。また、手術後もがん治療は続くため、子育てと仕事と治療の同時並行で、体力的にも精神的にもたいへんな負担になる。負担に耐えられず離職する人も多い。

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