50歳以上でも「つみたてNISA」が良い理由 普通のNISAと迷ったらどっちを選ぶのが得?

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3つめの「投資信託はいつ売ればいいのか?」これも難しいです。資産価値が上がっている時は、もっと上がるかもと思いますし、下がればきっと待っていれば上がるだろうと思ってしまいます。

でもつみたてNISAは非課税期間が20年ですから、20年経ったら投資信託を売却しておカネを使ったらそれでよいのです。50歳の人なら、20年後は70歳です。今「将来の70歳の自分」につみたてNISAを使って、おカネを仕送りする、と考えます。これで3つの回答が完成します。

さて、2つ目の理由は何でしょうか。Aさんの資産状況を見てみると、投資はNISAでの50万円だけであとは保険、特に個人年金保険は若い時から加入していました。さらに長生きに備え、やはりNISAではなく、年金保険に新たに加入しようかとも迷っていたのです。

Aさんに限らず、老後の不安には年金で備えたいという方は多いのですが、税金と社会保険料の負担を考えると年金を増やすことが必ずしも良いとは言えない場合があります。個人年金保険に限らず、公的年金を含め年金は「収入」となります。従って、所得税が発生し、社会保険料もその収入を基に計算されます。特に悩ましいのは一定の収入以上となると、健康保険の保険料も上がりますし、治療費等の自己負担が現役世代並みに高額となったり、介護保険を利用した時の自己負担が1割ではなく2割となってしまうのです。

つみたてNISAにしておけば、非課税でおカネが使える

一方、自分がためたおカネを引き出して使う分には、「収入」となりません。このおカネを引き出す口座をつみたてNISAとしておけば、運用益非課税で生活に使うことができます。さすがに80歳ですと要検討かもしれませんが、これが50歳以上の方にもつみたてNISAをおススメする2つ目の理由です。

金融庁によると、「国内外の株式や債券に20年間分散投資を行うと、投資収益率は2~8%に収れんする」とあります。AさんがつみたてNISAで年間40万円を利用して、「将来の自分自身への仕送り」を行うと、仮に運用利回り4%なら、20年後にはおよそ78万円になります。夫婦で行えば年間150万円ものおカネが所得税も課税されない、社会保険料もかからないおカネとして使えることになります。

「老後の備えは年金で」――。いつの間にか固定観念が出来上がっていましたが、つみたてNISAの活用もまさに「年金」ですね。「将来の社会保険負担は確かに不安だったので、これは良い方法です」、とAさんも喜んでいました。資産形成の方法はさまざまですが、有力なひとつの選択肢として、50代、あるいはアラフィフの人もつみたてNISAを検討してみるのも「十分あり」だと思います。

山中 伸枝 ファイナンシャルプランナー、FP相談ねっと代表

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やまなか のぶえ / Nobue Yamanaka

FP相談ねっと代表。一般社団法人公的保険アドバイザー協会理事。アメリカ・オハイオ州立大学ビジネス学部卒業。「楽しい・分かりやすい・やる気になる」ビジネスパーソンのためのライフプラン相談、講演を数多く手掛ける。大手新聞社主催のiDeCo(個人型確定拠出年金)やNISAセミナーの講師など登壇も多数。金融庁のサイトで、有識者コラムを連載。著書に『「なんとかなる」ではどうにもならない 定年後のお金の教科書』(インプレス)、『ど素人が始めるiDeCo(個人型確定拠出年金)の本』(翔泳社)、『100人以下の会社のためのiDeCo&企業型DC楽々活用法』(日本法令)ほか。公式サイト

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