50歳以上でも「つみたてNISA」が良い理由 普通のNISAと迷ったらどっちを選ぶのが得?
Aさんは、初めての投資で、しかも年初から50万円という比較的大きなおカネを投資に振り向けてしまったので「毎月の報告書が気になって仕方がない」と言います。これまでは「分配金が出ているから大丈夫だ!」と自分に言い聞かせていたが、特別分配金の意味を知ったらショックが大きいと落胆していました。
Aさんのような個人投資家が続出することは、「貯蓄から資産形成へ」といざなっていこうという金融庁の本意ではありません。そこで、「投資家がよりスムーズに長期の資産形成におカネを向かわせられるように」と創設したのがつみたてNISAなのです。
つみたてNISAは金融機関にとってもうからない商品
しかし、つみたてNISAは一般NISAの時と比べると派手なキャンペーンはあまり目につきません。これは投資家が無関心というわけではなく、むしろ商品を販売する金融機関の理由によるものです。
金融庁は一般NISAで、株式、投資信託、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)と幅広く投資ができるようにしましたが、今回のつみたてNISAでは、「金融庁が設定した基準を満たす投資信託のみ」としました。対象商品は144本です(2018年2月2日現在)。
主な基準は2つです。販売手数料ゼロとした「ノーロードファンド」のみ、信託報酬を一定水準以下とする点です。販売手数料と信託報酬は、販売会社の利益の源です。これが全く見込めないあるいは少ししかないつみたてNISAを積極的におススメしようとはなかなか金融機関も思えないでしょう。金融庁の基準を満たした投資信託しか「売れない」、売ったとしても儲からない、これは相当金融機関には頭の痛い「建て付け」でしょう。
また、つみたてNISAは年間の投資額は40万円と、一般NISAの120万円と比較すると3分の1です。さらに「つみたて」でしか買い付けが行われませんから、営業成績に追われる金融機関からみたら、やる気が起きないのも仕方ないかもしれません。またつみたてNISAは非課税期間が最長20年と長く、5年間の一般NISAと異なり投資信託を長期保有するほうが多くなることが予想されます。すると「商品の買い替え」提案が利益を出す絶好のタイミングとなる金融機関にとって、やはりつみたてNISAは魅力がないのです。
前述のAさんは50代半ばでしたが、取引をしている金融機関から「今年のNISAでは〇〇を買いましょうという提案はあったけれど、つみたてNISAの紹介はなかった」と言っていました。「確かに20年間運用益非課税って言われても、そんな先のことはわからないしな」とつみたてNISAには及び腰です。
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