パナソニック大攻勢、白モノ市場に波紋
ブランド統一をきっかけに国内の白モノ家電市場で大攻勢を仕掛ける松下に、競合他社は戦々恐々としている。ただでさえ国内市場は松下の独り勝ち状態にある。主要製品のシェアを見ると、首位に立つ分野は多い。中でも20万円近くする斜めドラム式洗濯乾燥機など高単価商品で圧倒的に強く、金額ベースでは白モノ全体で3割近い断トツのシェアを誇る。強者の意気込みに、他の家電メーカー幹部から「先が思いやられる」と嘆きの声すら漏れる。
三菱、三洋は絞り込み さらなる戦線離脱も
松下が大々的な発表会を行う4日前、三菱電機は50年以上続けてきた洗濯機事業の撤退を発表した。三菱の洗濯機の国内シェアは一ケタ(昨年度実績)に過ぎず、国内勢では最下位。「絶対的な台数の少なさに加え、単価の高いドラム式も松下など上位メーカーの壁が厚かった」(三菱電機)。10月から生産を中止し、今後の白モノ家電はエアコンや冷蔵庫など同社が得意とする分野に経営資源を集中させるという。経営再建中の三洋電機も白モノ家電事業のリストラを進めており、昨年春には国内で販売する冷蔵庫の生産を中国・ハイアールに全面委託。さらに今年春からは家庭用エアコンの事業規模を大幅に縮小し、家電量販店での販売休止に踏み切った。
松下は高い国内占有率と持ち前のコスト競争力を背景に昨年度、白モノ家電事業を中心とするホーム・アプライアンス部門で860億円もの営業利益を計上。ただし、これはあくまで例外で、業界各社の白モノ家電事業は赤字もしくは低収益にあえいでいる。国内市場は頭打ち、最近は銅などの原材料高騰も採算悪化に拍車をかけており、事業環境は厳しい。
「社名変更とブランド統一は出発点。今後は技術面などで各部門の連携を深め、白モノも当社だからできる便利で強い商品を次々に出していく」と大坪社長は一段のシェアアップに自信を見せる。パナソニックのロゴを付した新商品と資金力を武器に、国内の白モノ家電市場で寡占化をもくろむ松下。他社がそのあおりを受けるのは必至だろう。一部商品からの撤退など、事業のさらなる縮小を余儀なくされるメーカーも出てきそうだ。
(渡辺清治 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)
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