ロヒンギャの惨劇、彼らはどう殺害されたか

終わりの見えない「浄化作戦」

さらに、ロイターの取材に応じた多くの仏教徒、兵士、武装警官、ロヒンギャたち、そして地元の行政当局者の証言から、より詳しい状況が明らかになった。

ー 仏教徒村民によると、軍の兵士や武装した警察官がインディン村の仏教徒住民を集め、そのうちの少なくとも2人がロヒンギャ住民の家に放火した。

ー 3人の武装警察官およびラカイン州の州都シットウェの警察官によると、インディン村のロヒンギャ集落を「浄化」する命令は、軍の指揮系統を通じて下された。

ー インディン村の仏教徒行政官と武装警官によると、武装警察隊の数人がロヒンギャ住民から牛やオートバイを売却目的で略奪した。

政府側は軍の作戦を擁護

ロイターが入手したこれらの証言や情報について、ミャンマー政府はどう反応しているのか。

スポークスマンであるZaw Htayはロイターに対し、「人権侵害の申し立てがあることは否定しない。そして、全てを否定してもいない」とし、もし不法行為について「十分かつ信頼できる一次証拠があれば、政府は調査を行う」と語った。「そして、証拠に間違いがなく、暴力があったことが分かれば、我々は現行法に従って必要な行動を取る」と述べた。

インディン村のロヒンギャ集落を「浄化」するよう命令を受けたという武装警官たちの証言については、「証明が必要だ。内務省と警察当局に聞かなければならない」と返答。武装警官たちによる略奪に関しては、警察が捜査するだろうと語った。

同スポークスマンは、仏教徒村民たちがロヒンギャたちの住宅を焼き討ちしたとの情報には驚いた表情で、「いくつも様々な異なった申し立てがあるが、誰がそうしたのかを証明することが必要だ。今の状況下では、それは非常に難しい」と付け加えた。

一方、同氏はラカイン地域における軍の作戦を擁護した。「国際社会は誰が最初にテロ攻撃を仕掛けたのか理解すべきだ。もし、そうしたテロ攻撃が欧州各国や米国で、例えばロンドン、ニューヨーク、ワシントンで起きたら、メディアは何と言うだろうか」。

一連の出来事は昨年8月25日、ロヒンギャの反政府集団がラカイン州北部にある警察署と軍の基地に対して行った襲撃から始まった。身の危険を感じたインディン村の数百人の仏教徒村民たちは修道院に逃げ込んだ。8月27日、ミャンマーの第33軽歩兵部隊およそ80人が同村に到着した。

村の5人の仏教徒によると、部隊を統率する兵士の1人は到着後、彼らに対し、治安作戦に参加することもできると持ちかけた。実際に仏教徒の「治安グループ」から名乗りを上げる者が出たと言う。

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