「ワゴンR」高すぎる目標を達成できない苦悩 宿敵「ムーヴ」に勝ったのは2017年7月のみ

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登録済み(軽は届け出)済み未使用車をメインに販売する業者のストックヤード。このようにワゴンRが多く置かれる光景が2017年後半から目立ってきた(筆者撮影)

N-BOXは2017年8月31日に現行モデルが正式デビューしている。つまりそれまでは先代が末期モデルとなっていたのである。ちなみに先代モデルを販売していた2017年2月から8月までの、月販平均台数は約1万6000台と、まさに怪物といってもいい販売台数となっている。

当時、販売現場からは「N-BOXの値引き条件は尋常ではなく勝ち目がない」といった声も聞かれたが、単に乱売だけであったり、軽自動車ではお約束の自社届け出などによる、届出済み未使用車としての流通が多くなったりしているということだけではこれだけの販売台数は末期モデルではなかなか稼げない。

人気は根強いが…

末期モデルであり、なおかつ6月ごろからは新型のティザーキャンペーンも始まっている状況なのに、販売台数が際立って下がらないのは、それだけエンドユーザーの間で根強い人気がある証拠ともいえよう。

ワゴンRについても3月(年度末)、7月(夏商戦締め)、9月(半期決算)という節目の時期に1万台を超えている。けっしてワゴンRが目立って売れ行き不振になっているわけでもない。しかし2017年度下半期ぐらいからは、届出済み未使用車も目立ってきたが、それでも目標の1万6000台をクリアできなかった。

新型になってからは月販2万台を超える月がほとんどとなっているN-BOXの勢いをライバルメーカーがなかなか食い止めることができないだけでなく、タントやスペーシア、デイズ ルークスなど、同じスーパーハイト系ワゴン間での販売(値引き)競争は激しくなるばかりで、軽自動車の主役はこのタイプに完全に移り変わろうとしている。

そしてワゴンRのライバルであるムーヴはキャンバスという“飛び道具”を持ち出してきている。軽自動車では絶対的な知名度を誇り、アイコンとして君臨してきたワゴンRだが、そろそろ“次の一手”が必要なのかもしれない。

小林 敦志 フリー編集記者

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こばやし あつし / Atsushi Kobayashi

某メーカー系ディーラーのセールスマンを経て、新車購入情報誌の編集部に入る。その後同誌の編集長を経て、現在はフリー編集者。

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