カンロは「糖質制限ブーム」なんて気にしない 「健康のど飴」が定着、「虫歯予防」飴も

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販売が好調なカンロのグミ。主力商品の「ピュレグミ」はラインナップを強化している(撮影:風間仁一郎)

今後の成長のドライブは何か。カンロは5年前にいったん縮小していた海外事業での再挑戦を挙げる。ロゴマークでの社名表記を英語にしたのも海外市場を意識してのことだ。

カンロは、1990年代から台湾や香港に進出。香港では現地の「お菓子ランド」という小売りチェーンなどで販売しているが、店頭の主力ラインナップにはなっていないため、カンロにはうまみが小さい。

そこで2018年からは、大株主の三菱商事の協力も得て東南アジア全域でスーパーやコンビニ向けの販売ルートを開拓していく。当面は飴の輸出から着手し、成長しているグミも生産能力増強と軌を一にして本格展開する予定だ。中長期的にはアジア各国での現地生産も視野に入れ、20年後には海外売上比率(現在は1%程度)が国内売り上げと並ぶ水準にまで拡大させる方針を掲げる。

「海外市場攻略はまだ間に合う」

2017年12月期の第3四半期(1~9月期)の売上高は151億円(前年同期比6.1%増)、営業利益4億5500万円(同92.1%増)と好調だ。キャンディ市場全体が振るわない中で、飴では主力商品の「金のミルクキャンディ」や「スーパーメントールのど飴」などが伸長。成長商品のグミでも「ピュレグミ」「カンデミーナグミ」がコンビニ向けにヒットを続けた。

「金のミルク」に続くヒットを出せるか。商品力は海外攻略の成否も左右する(撮影:梅谷秀司)

利益率の高い主力商品のヒットに加え、原価改善や廃棄ロスの低減などのリストラが寄与している。2月8日に2017年12月期の本決算発表を控えるが、売上高210億円(前期比6.5%増)、営業利益は会社予想の8.3億円(同40.3%増)を上回る9億円台乗せの公算が大きい。

成長に向けた次の一手も打っている。グミの生産能力倍増を狙い、長野県の松本工場にラインを新設中で、2018年末までに完成・稼働予定だ。キャンディでは味覚糖や不二家がアジアで先行している。「カンロは(経営環境の)厳しい時代を経て今がある。海外は少し出遅れた感があるが、まだ間に合う。そういう商品を作れると思っている」(三須社長)。

決して”甘くない”海外市場へ、カンロの捲土重来は実を結ぶだろうか。

山川 清弘 「会社四季報オンライン」編集部 編集委員

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やまかわ・きよひろ / Kiyohiro Yamakawa

1967年、東京都生まれ。91年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東洋経済新報社に入社後、記者として放送、ゼネコン、銀行、コンビニ、旅行など担当。98~99年、英オックスフォード大学に留学(ロイター・フェロー)。『会社四季報プロ500』編集長、『会社四季報』副編集長、『週刊東洋経済プラス』編集長などを経て現職。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト。著書に『世界のメディア王 マードックの謎』(今井澂氏との共著、東洋経済新報社)、『ホテル御三家 帝国ホテル、オークラ、ニューオータニ』(幻冬舎新書)など。

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