NEC、事業縮小続き人員削減「4度目」の必然 3000人削減でも浮上の道筋が見えない

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また、国内9工場ある生産拠点の統廃合も進める。対象となる製造子会社では、携帯電話基地局装置や各種コンピュータなど多様な製品を製造するが、どの工場を閉め、どう再編していくかは今後決めていくという。

そして、今回もっとも踏み込んだといえるのが、国内で間接部門とハードウエア事業を対象とした3000人の人員削減だ。

「いま成長に向けた投資をやる体力をつけないと取り残される危機感があった。苦渋の決断だが、構造改革を断行することで次のNECの成長をつくりたい」(新野社長)

NECが人員削減に踏み切るのは、2001年から4度目となる。2001年に4000人、2002年に2000人削り、2012年には「1万人削減」も実施した。このときは、派遣社員が約5000人と半分を占め、本体で2400人弱、子会社で250人。タイ工場を閉鎖して2700人を削減した。

前回の1万人削減では、「社内のモチベーションが低下した」と新野社長は吐露する。ハードウエアの技術者をソフトウエアに配置転換するなど、リソースシフトで乗り切ろうとしたが、「社員のスキルがなかなか合わず、スピードも遅れていた」(新野社長)。

今回、削減数を3000人とした根拠は、販売管理費を20%以下にするためだ。現在販管費は22%だが、それを20%以下にしないとグローバルで生き残れないと判断した。

成長戦略を不安視する声も

NECが今後の成長事業と位置付けるのが、顔認証技術を中心としたセーフティ事業だ。現在、売り上げは国内外とも500億円規模だが、この海外分を2020年度に2000億円規模に育てる計画だ。1月末に完了した英ノースゲート・パブリック・サービス社の買収は、この事業を増やすための布石だった。

英ノースゲート社はセキュリティに強いソフトウエア会社。近年は赤字が続き、2017年4月期末で債務超過に陥っていた。その同社をNECは約700億円で買収しており、「高値づかみ」との評価もある。

海外のセーフティ事業について、新野社長は「買収なしでも昨年から30%以上成長している。(NECの技術は)大勢の中から一人を特定するのに優れていて、動いているものでもきちっと認識できる」と強気の姿勢を崩さなかった。

仮に海外セーフティ事業がうまくいったとしても、NEC全体を成長路線に戻すことは容易ではない。かつて「電電ファミリー」の一員であり、事業構造が近い富士通は、SI(システム・インテグレーター)事業が牽引し最終利益は過去最高を更新する見通し。一方でNECは今回の計画でも、SI事業をどう成長させるのかが見えなかった。

新野社長自らチャレンジングな目標というNECの計画。これを実現させて、かつての輝きを取り戻すことはできるだろうか。

山内 哲夫 東洋経済 記者

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やまうち てつお / Tetsuo Yamauchi

SI、クラウドサービスなどの業界を担当。

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