外国人が活躍できない日本の残念な労働事情 労働者と移民は分けて考えるのが現実的だ
まずソフトランディングの方法として、短期の外国人労働者を受け入れる。その上での課題は、言葉の問題です。短期的な働き手であっても、日本語を完璧に話せるようになってから日本に来てほしい。そういう考え方もあるようです。でも働き手からみると、そうじゃなければ働けない国っておそらく日本だけです。
シンガポールでも米国でも外国人が多い国では、全員が完璧な英語を話すかと言ったらそんなことはありません。そしてそれを織り込んで、社会が回っています。たとえばレストランの店員が拙い英語でも、それにクレームを付ける人はいません。地下鉄や公共の空間の表示では、難しい言葉を使わず、シンプルにわかりやすく説明しています。こんな中、日本だけが高い語学能力を外国人の働き手に求めると、おそらく日本は働く国として選ばれなくなると思います。
世界の常識は日本で通用しない
――言葉以外にも、日本はまだまだ外国人にとって働きにくい、住みにくい国のようです。
たとえば銀行口座の開設は断られるがちです。本来は必要な書類を出せば作れるはずなのに、メガバンクでも地方銀行でも、書類があるのに開設を断られることが少なくありません。住宅もまだまだ大変。部屋の借り主がその外国人を雇用する日本企業であっても、「外国人には住んでほしくない」といって大家さんから断られることがあります。職場では、社長と人事部が外国人採用を決断しても、現場のパートさんが嫌がっていじめるようなこともあるようです。
――こういった心理的な抵抗感は、制度の問題よりも改革が難しそうです。
これはもう、少しずつ外国人を受け入れてもらって、少しずつ変わるのを待つしかありません。
有名なジョークで、「沈みそうな船に乗っている外国人を、海に飛び込ませる言葉」ってありますよね。米国人には「一番に飛び込んだらヒーローになれる」、イタリア人には「女性にモテモテになる」とかいう(笑)。あのジョークでは、日本人には「みんな飛び込んでますよ」って言うんですけれど、あれはあながち冗談ではありません。今のビジネスの中で実感しています。そして、このときの「みんな」は日本人でなくちゃいけないみたいです。
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