外国人が活躍できない日本の残念な労働事情 労働者と移民は分けて考えるのが現実的だ

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――現状では、産業の裾野を支える中小企業が外国人採用に目を向けざるを得なくなっていると。では、大手企業は現状をどう受け止めているのか。松崎さんは2017年10月に、経済同友会の人口・労働問題委員会で講演したそうですが、反応はどうでしたか。

いろんな質問が出ました。大きな企業の経営者ばかりですから、外国人の就労をめぐるビザ制度の詳細については、全員が詳しいというわけではありませんでした。たとえば留学ビザを持っていても実際は出稼ぎ目的という「偽装留学生」の存在や、そういう留学生がアルバイトをすることで日本の産業がなんとか回っているという実態は、意外と知らないのかしら、という感じでした。

でも結論としては、「外国人は国民から嫌がられるテーマだけれど、これはきちんと議論しなければならないね」となりました。同友会の経営者にとっては、主婦や高齢者、障がい者の活用を進めようとずっと議論してきたけれど、どれにも手詰まり感があるからです。

たとえば、主婦が働けば労働人口が増えるという考え方ですが、実際には主婦が8時間も9時間も働くことはそんなにありません。103万円の壁の問題かというと、実は半分以上の人がその壁に全然ぶち当たらない程度の収入で終わっています。つまり、「たくさん稼ぐより、子どもとの時間を大切にしたい」といった判断を実際の主婦はしているのです。同じように、高齢者や障がい者にもいろんな実情がある。

同友会だけでなく社会的にも、外国人の受け入れをめぐる議論が増えている実感があります。ただ、「日本は単一民族で、移民は受け入れがたい」という国民感情が根強いのも現実です。ですから私は現実的な対処としては、外国人の労働者と移民を分けて考えるのがよいのではないかと思います。

今の日本には移民解禁は変化が大きい

――定住しない、短期間の労働力として受け入れる?

それが今の日本にはよいと思います。

私個人は米国やオーストラリアのような、移民を受け入れ、いろんな考え方をミックスさせ、新しいものを生み出せる国が面白いと思います。でも移民解禁に舵を切るのは、今の日本には変化として大きすぎる。

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