稚魚が取れない!「ウナギ価格」高騰の懸念

ワシントン条約で「規制対象」になる可能性も

ニホンウナギの減少は今に始まったことではない。国内での稚魚漁獲量は、1950~60年代は200トンを超えることもあった(水産庁統計)。だが徐々に減少し、直近の2017年度は15.5トン、輸入分を含めても合計19.6トンだった。2014年には国際自然保護連合がニホンウナギを絶滅危惧種に指定した。

減少する原因は河川の工事や取りすぎと考えられている。また、稚魚を取るには都府県の許可が必要だが、稚魚が高値で取引されることに加え、網と電灯があれば一人でも取れるため、密漁が後を絶たない。許可を得ていても、良い漁場を競合相手に知られたくないという理由などで申告しない場合もあるようだ。

資源の評価ができない

こうした状況を踏まえ、水産庁はニホンウナギを利用する中国、台湾、韓国と、養殖池に入れる稚魚の量に上限を設けることで2014年に合意。日本の上限は、合意直前である2014年度の池入れ量の8割と決められた。

ただ、ウナギ研究に携わる北里大学の吉永龍起准教授は「養殖業者はこの2014年を基に上限が決まるとわかっていたので、過剰申告がなされたようだ。稚魚用飼料の業者からは、とてもそんなに稚魚が池に入れられたとは思えないという話も聞く」と話す。

当記事は「週刊東洋経済」2月3日号 <1月29日発売>の記事に加筆修正したものです

また、生息数の客観的なデータが非常に限られているため、「保護に取り組んでも、それがどの程度資源回復に役立ったかという評価ができない」(吉永准教授)。現在、国や研究機関がデータの収集・蓄積に力を入れ始めている。

2019年には野生生物の国際取引を規制するワシントン条約の締約国会議が開催される。そこで、ニホンウナギを含む全19種のウナギすべてが規制対象になる可能性もある。日本でも輸入物として流通するヨーロッパウナギは、すでに2009年からワシントン条約で規制の対象となっており、EU(欧州連合)の輸出制限などで流通が大きく減っている。

絶滅危惧種を食べる消費者の考え方も、今後は一層問われるだろう。

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