アマゾン時代に「モノが安くなる」根本理由 中小企業より大手がピンチに

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こうした投資にはコストも時間もかかり、アマゾン内での競争も激しい。ファンによると、サンバレーの粗利益率は25%を下回っているといい、消費者向け電子機器のメーカーとしてはかなり低い水準だ。

「本当に厳しい」とファンは言う。「本当の自然淘汰のプロセスがここにある」。

自然淘汰のプロセスが及ぶのは、消費者向け電子機器だけではなさそうだ。ファンによると、同社はアマゾンをある種の製品ロードマップとして、定期的にチェックしているという。彼らが探しているのは、有名ブランドの高価格の商品が支配しているような分野だ。そうした分野で、より安価で優れた商品を造るためである。サンバレーはこれまでに、電気スタンドや加湿器などの家電製品に進出し、化粧品にも進出した。

「ブランド」の意味が変わる?

アマゾンもこうした流れをただ見ていたわけではない。アマゾンは同社のサイトに出店を行うよう、企業に勧めてきた。同社によると、販売される製品の半分は小規模企業のものだという。そして2016年には、10万社以上が、アマゾンのシステムで10万ドル(約1100万円)の売り上げを上げた。こうした小企業が事業を拡大できるよう、アマゾンは資金を貸与するプログラムも開始した。2016年の融資額は30億ドルを超えたという。

「こうなると、このアマゾンの時代において、ブランドとは何なのだろうかと考えてしまう」。こう話すのは、チャネルアドバイザー会長のスコット・ウィンゴだ。同社はeコマースに関するコンサルティングを行っている。

これは興味深い問いであり、アマゾンの拡大が恐ろしく感じられるものでもある。高品質で低価格のブランドが伸びることは消費者にとって間違いなく良いことだと思われるが、これにより経済的な敗者も出てくる。

アマゾンについて以前から存在する懸念は、地域の小売業者の経営が立ちいかなくなる、というものだ。いまや、もう1つ懸念されるのは、世界的ブランドが低価格の製品との競争にさらされることにより、彼らの経営も危なくなるということだ。ウィンゴによると、さまざまな分野の世界的ブランド、たとえば、電子機器やアパレル、住宅の修繕などの企業が、アマゾンで低価格の競合と戦う方法を求めて、ウィンゴの会社にやって来るという。

しかし、簡単な解決方法はないと、彼は伝えなければならない。

「従来の消費者向け製品のブランドの意味が、大きく崩れている」とウィンゴは言う。「評判や信頼など、通常はブランドから得られるものに代わって、アマゾンがすべての情報を提供している。アマゾンが総合的なブランドのようになりつつあり、唯一の重要なブランドになりつつある」。

(執筆:Farhad Manjoo、翻訳:東方雅美)
© 2017 New York Times News Service

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