医療界の怪人、徳洲会「徳田虎雄」の真の姿 怒涛の病院新設と政界進出にひた走った人生

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──よく「清濁併せのむ」と言いますが、たぶん徳田氏は濁を濁とは思っていないんでしょうね。

ええ。カネばらまいて俺が国会の赤じゅうたんを踏めば、徳洲会によって医療過疎地が減っていく。いい目的のための手段が多少ダークで何が悪い?って。だから政界での彼は金づるとして利用されてばかり。うまくのし上がろうという政治の世界ではうぶだった。

でも怪物だったことは確か、よくも悪くも。昭和の田中角栄にしろ徳田氏にしろ、ああいうスケールの大きな人が今はいない。破天荒なんだけれど憎めないというようなね。善悪の基準というか物差しが普通の人とは違うんです。

『神になりたかった男 徳田虎雄:医療革命の軌跡を追う』(平凡社/328ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──題名が「神になりたかった男」ですが、徳田氏本人は自身を神という言葉で語ってはいませんよね。

でも彼の中で、巨大グループの一権力者を突き抜けた存在になりたいという思いはすごく強かったと思う。神になろうとしたというより、なりたくて仕方がない。

病院を増設しながら走った1990年代、側近たちによく話しました。釈迦もキリストもモーゼも、歩くか馬に乗って説いて回った。でも俺は飛行機に乗って1万倍動ける、1万倍仕事ができるんだと。宗教の始祖たち以上のことを俺はできるとうそぶいた。実際によく言っていたのは「俺は世界大統領になる」っていう陳腐な表現だけど。世界に病院を200作ると宣言して、みんなから徳田虎雄は神だとあがめ奉られたいという、すごく単純な上昇志向があった。

白衣の向こう側にある世界

──読者に伝えたいことは?

徳洲会という巨大病院グループができ、大スキャンダルで栄枯盛衰の果て、徳田家から離れた今も徳洲会という病院組織は継続している。これは結局、核となる医療が持つ力だと思うんです。人間たちのドラマとして読んでほしいのと同時に、医療とは、組織としての病院とは、政治と医療の密接さ、白衣の向こう側にある世界に関心を持ってもらえるといいと思います。

中村 陽子 東洋経済 記者

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なかむら ようこ / Yoko Nakamura

『週刊東洋経済』編集部記者

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