GMバーラCEOが描くEV黒字化目標の賭け GMの「秘策」とは?
バーラCEOとGMは、EVに巨額投資を行ってきた。投資家に対しては過去1年、最新モデル「シボレー・ボルトEV」の成功とコスト削減を武器にすれば、テスラにも太刀打ち可能と繰り返し説得してきた。
同社の戦略に詳しい関係者2人によれば、黒字化に向けた計画の重要な要素の1つは「EMC1.0」と呼ばれる新型バッテリーシステムで、これによりコバルト使用量を削減できるという。
リチウムイオン・バッテリーのセル材料の中で最も高価なコバルトは、この2年、自動車メーカーによる需要急増を見込んで価格が高騰しており、ロンドン金属取引所で今月に入り過去最高を更新した。
バッテリーセルのコストを3割以上削減
GMによる新設計のバッテリーでは、ニッケル使用を増やすことで貯蔵・生成するエネルギーを増大していると関係者は語る。同社幹部や提出された特許書類によれば、それ以外にも、バッテリーの車体組み入れの効率化、エネルギーフローの制御やバッテリーセル冷却に関するシステムの改善など、設計や技術上の改善にも取り組んでいる。
詳細は明らかにされていないが、これらの変更でバッテリーセルのコストを3割以上削減、現在の毎時1キロワット145ドルから、2021年には100ドル以下への低下が見込まれているという。
現在GMが「ボルトEV」で採用しているようなバッテリーパックの総コストは約1万─1万2000ドルで、車両価格3万6000ドルのほぼ3分の1に相当する、と専門家は試算する。
だが、GMの元エンジニアリング・ディレクターで現在はコンサルタントのジョン・べレイサ氏は、バッテリー価格は2021年には6000ドルまで低下すると予想する。同氏は「シボレー・ボルト・ハイブリッド」の開発に貢献し、GMによる初期のリチウムイオン電池の開発を主導した人物だ。
バッテリーの化学構造やパッケージングの改善によって、次世代「ボルト」では「バッテリーのコストをほぼ維持したまま走行可能距離を45%延ばすか、同じ走行可能距離のままコストを45%削減できる」とべレイサ氏は語った。
グローバルEVプログラム担当のパム・フレッチャー副社長などGM幹部からは、2020─21年に導入予定の新バッテリーシステムの詳細についてコメントを得られなかった。