「割安」で注目のトルコリラは投資してよいか 賢い投資方法とリスクを検証

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ところが、新興国通貨、それも対円レートの水準において確固たる相場感を持つのは容易ではない。さらに気をつけなければならないのは為替の世界は基本的に「基軸通貨である米ドルに対していくらなのか」という観点で取引されているという点である。

1トルコリラは現在(2018年1月)30円程度なので、日本人には、「30円の大台を割った(もしくは超えた)」ということが意識されるかもしれないが、対ドルでは3.7673リラであって、特に切りのよいレベルではない。どちらかというとこの先「対ドルで4リラを超えるかどうか」のほうがはるかに注目されているのである。

通貨を測る便利な物差しは「購買力平価」

そこで、投資対象の通貨に対して自分なりの水準感を持つにはどうしたらよいのか。少なくとも「今ポジティブなニュースがでたので、昨日の水準よりも高くなるはず」という考え方は正しくない。昨日の水準自体が間違っている可能性があるためだ。

あるべき為替レートについてはいろいろな考え方やモデルが存在するが、唯一意味があると筆者が考えるのは購買力平価である。これは簡単に言えば「同じものは世界中のどこで買っても同じ値段のはず」という考え方である。ある商品が日本では400円、同じ物がアメリカで4ドルならば、1ドル100円ということになる。

「複雑な要因が絡みあって形成されている為替レートはそんなに幼稚で単純ではない」とお叱りを受けそうであり、確かに国によって税金や人件費、不動産の費用、エネルギー価格など価格形成に係るものの条件が変わるのも事実であるが、通貨は基本的に「モノを買う手段」である。したがって購買力平価で見て妥当と思われる水準から乖離しているのであれば、いずれ妥当なレベルに収斂(しゅうれん)していくと考えることができる。

購買力平価の考え方を用いて為替レートを評価する方法もいろいろあるが、基準年をどこに置くかで、割安か割高かが変わってしまう。そこで、トルコリラの対ドルでの購買力平価のスタート地点を計測期間中の実際の対ドル為替レートと購買力平価の平均が同じになるように調整してみた。実際の為替レートの下落は購買力平価の下落よりも大きいことがわかる。購買力平価の観点からもトルコリラは割安に推移していると見てとれる。

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