ライフネットの「がん保険」が物足りない理由 あのゴールドマン出身者が考案した新商品
インターネット専業の保険会社、ライフネット生命は昨年(2017)年8月から「がん保険」の販売を始めている。2008年に定期死亡保険と終身医療保険の2商品で出口治明氏(2018年1月から立命館大学アジア太平洋大学学長)が創業したライフネットにとって、2010年に開始した就業不能保険以来、久々の大型新商品だ。
がん保険の担当トップは昨年6月に取締役になったばかりの森亮介氏(33)。森氏はゴールドマン・サックス(GS)証券を経て2012年にライフネットに入社した。GS時代は資金調達やM&A(企業買収・合併)が専門で、当時の主要顧客が保険会社だった。ライフネットに入社後は29歳で企画部長に就任。経営戦略本部長を経て昨年4月、がん保険への参入を見据えて営業本部長に就任した。
「ぽっかり空いている穴を見つけた」
「がん保険はすでに多くの市場参加者がいてレッドオーシャン(過当競争)状態。今さら参入したところで特徴がなければ埋没しかねない」
がん保険への参入を検討し始めた2015年末に森氏にはそんな危機感があった。異業種出身ならではの新鮮な視点が期待されたが、「いいアングルが見つけられない」と苦悶したこともあったが、就業不能保険の支払い事例がヒントになったのだという。
「就業不能状態になるきっかけの6割はがん。がんで就業不能になった人の話を聞くと、業務量の抑制などで年収が平均2割減っていた。就業不能状態を脱し、働きながらがん治療をしている人の『身入りの減少』の保障が(保険商品のラインナップとして)ぽっかり空いていることに気づいた」(森氏)
そこで「がんの治療費に加えて収入減を保障する保険なら特徴が出せる」と「ライフネットのがん保険 W(ダブル)エール」の販売に踏み切った。Wエールは診断一時金のみの「シンプル」と治療サポート給付金のついた「ベーシック」、さらに収入サポート給付金のついた「プレミアム」の3タイプだ。診断一時金100万円のみのプランで比較すると「全年代でどこよりも安い」(森氏)のが自慢だという。
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