『第二新卒での転職は不利?』(IT企業勤務3年目) 城繁幸の非エリートキャリア相談
<城繁幸氏の診断>
診断:『一昔前の価値観』
「新卒で入った会社を3年もたないような奴は、使い物にならない」
確かに、以前はそういった考え方がありましたね。以前といってもそんなに昔の話ではありません。90年代いっぱいくらいまでは、そういう考えに基づいて、「中途採用は勤続5年以上対象」なんて条件を付けている企業の方が主流でしたから。当時は私自身、「最初に入った会社は、何があっても3年は辞めるな」と、後輩にアドバイスした記憶があります。
ただ、21世紀に入って、この考えは大きく変わっています。上場企業で言えば、今は第二新卒採用を行っている企業の方が多いのです。少なくとも「第二新卒はダメ」という価値観を持っている企業は、ほとんど見られないように思います。理由は以下の二点。
【1】雇用の流動化が進み、採る方も採られる方も、転職に対する敷居が下がったため
【2】昨年あたりから新卒求人倍率が急上昇し、新卒採用予定数を確保できない企業が増えたため
第二新卒採用は、厳密に言えばキャリア採用ではなく、新卒採用の延長戦なんです。新人に逃げられた企業や、採りきれなかった企業のリベンジマッチのようなものですね。
ですので、キャリア採用とは違い、「キャリアチェンジが出来る」という特徴もあります。これはとても貴重なことです。たとえば「SEになってはみたけど、やはり営業が良い」というような場合、20代後半になってから転職しようとすると、非常な困難が伴いますが、第二新卒ならいくらでも機会は与えられるわけです。
そういう意味では、「石の上にも三年」という言葉は、既に過去のものと言っていいでしょう。