ホンダのスクーターがインドで爆走する理由 現地独特の価値観に寄り添い、地道に拡大

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販売台数を牽引しているのが、ホンダのロングセラースクーター「アクティバ」だ。近年、インドでは「スクータライゼーション」と呼ばれる現象が起きている。通常のまたがるタイプのバイクから、高価格帯のスクーターに需要がシフトしているのだ。2017年11月現在、インドのバイク販売台数のうち4割弱をスクーターが占めている。

背景には、年収35万~350万円の中間層が毎年2000万人ほど増加していること、都市部だけでなく農村部でもスクーターの走りやすい道路が整備されたこと、女性の乗車率が高まっていることなどがある。

主力車を現地文化に合わせ、ヒットに

ホンダのインドでの主力車種「アクティバ」。現地の文化に合わせて開発された地域専用車だ(記者撮影)

ホンダは都市部を中心にスクーターが強く、インド国内で5割以上のシェアを握る。使い勝手や走りを追求したインド専用車としてのアクティバの魅力が受け入れられた。世界的にはプラスチックの外装を用いたモデルが増えているが、あえてボディには鉄板を使い、インド人の「金属は丈夫で資産価値が高く、中古でも高く売れる」という価値観に合わせたという。

2017年2月発売の新型「アクティバ4G」は、1台5万1324ルピー(約9万円)という地場系メーカーに合わせた価格設定が功を奏し、販売が好調。アクティバシリーズは今年4月から10月までの7カ月で200万台、9秒に1台のペースで売れている。ヒーロー社や業界3位TVS社といった競合の主力車を押さえ、スクーターセグメントでの圧倒的トップの地位をさらに強固にした。10月に発売された若者向けのスクーター「グラッツィア」の売れ行きもよいという。

ニューデリー市内にあるヒーロー社のバイク販売店(記者撮影)

とはいえ、バイク全体でのシェア首位を取るには、まだ課題が多い。ホンダのインド現地法人、ホンダ・モーターサイクル・アンド・スクーター・インディア(HMSI)の営業担当者によると、今後はスクーター需要の伸び率がより高くなる農村部への営業が焦点となるという。その点、ヒーロー社はインドを代表する優良企業であり、農村部の隅々まで販売網を敷く。村民から頼まれれば井戸まで掘ってしまうなど、インド国民からの信頼は相当厚い。

ホンダとしては手薄な農村部を中心に販売店を増やしていく考えだが、それに加えてホンダブランドを浸透させていく必要がある。そのための取り組みの一つが、2013年から始めた「安全運転講習」だ。

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