衝撃!サルの脳に「直接情報を注入」した結果 将来的には脳に損傷を負った人の助けにも
マズレクと共同執筆者のマーク・シーバーは、運動前野の研究のため、2頭のアカゲザルにあるゲームを教えた。サルは、ボタン、球状のノブ、円筒のノブ、そしてT字形のハンドルがついたパネルの前に座らせられる。それらはすべてLEDライトで囲われており、各装置のライトが光ったら、サルはそれを操作することで報酬をもらうことができる。
それぞれの装置の操作には、特定の行動が求められる。ボタンが光ったらサルはそれを押さなければならない。球状のノブの場合は回す。T字形のハンドルもしくは円筒形のノブの場合は引く、といった具合だ。
電極を介して情報を直接取得
サルがゲームの方法を習得すると、マズレクとシーバーは、それぞれのサルの脳の運動前野に16の電極を埋め込んでゲームをやらせた。
ライトがつくたびに電極から微弱の電気刺激が与えられる。電気刺激のパターンは、操作させる装置ごとに変えられた。サルたちがゲームの回数を重ねるほど、ライトは暗くされた。暗くなったことで最初はサルたちはミスをしたが、次第にパフォーマンスは向上した。
最終的にライトは完全に消されたが、それでもサルたちは脳に埋め込まれた電極から送られる信号だけを頼りに、報酬のために正しい装置をつかみ、正しく操作した。ライトがついているときと同じようにできたのだ。
この実験結果は、環境からの情報を受容する脳の感覚をつかさどる領域が迂回されることを示している。脳は電極を介して情報を直接得て、反応することができるのだ。
人の脳のある部位に電流を流すと、体の特定の部分が無意識に動くことは以前からわかっている。しかし、今回の実験でサルたちが経験したのはそれとは違う。