ホームレスになった年収1200万男性の悲劇

働き盛りを襲う「介護離職」の現実

このサービスは介護が必要になっても住み慣れた家で生活ができるように2012年度からスタートした。要介護1〜5の人が使える。

通常、訪問介護は原則1回、20分以上と利用の時間に制約があるが、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の「定期巡回のサービス」は、短時間のケアを1日に何度も利用できる。自力でトイレに行くことができない人でも、ヘルパーがトイレの介助をしてくれるので寝たきり防止になる。週に1、2回、デイサービスに通うプランを組み合わせることも可能だ。

具合が悪くなったときのため、「随時対応サービス」でケアコールの端末機とペンダント型のブザーが貸与される。これを押すと、24時間いつでも介護事業所のオペレーターと会話ができ(通話は実費)、必要に応じてヘルパーを派遣する「随時訪問サービス」を受けられる。

ヨウコさんの母は亡くなる3年ほど前から認知症になり、要介護2と認定された。その母の世話をしていた父自身も心臓疾患を患い、介護が必要となってしまう。介護認定を受けると要介護1であった。

ヨウコさんには仕事もあり家庭もある。二人をデイサービスに通わせるのは困難だったので、同時に訪問介護が受けられるようにケアマネジャーに相談した。朝、昼、晩に30分間ヘルパーが入り、食事の世話、服薬の確認をする。訪問介護の時間は、一人あたり15分、二人で30分と事業所が配慮して決めてくれた。

「それまでは夜中でも『お腹がすいた』『トイレに行きたい』と言い出しては、同じ敷地内に住む私を呼び出すので、夜も満足に眠れませんでした。このサービスを使ってからは、夜もぐっすり眠れて仕事の最中に呼び出されることもない。本当に助かりました」(ヨウコさん)

利用料は介護保険サービスの自己負担1割(または2割)なのでサイフも痛まない。いい制度なのだが、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」のサービスを展開する事業所は少なく、必ずしも自宅の近くでみつけられるわけではないのが欠点だ。

ヨウコさんは幸いにも、歩いて5分ぐらいのところに事業所があったからよかったが、ヘルパーが頻繁に駆けつけることを考えると、自転車で1キロ圏内が限度。そもそもこうしたサービスを知らない利用者も多く、認知度を高めるためにも事業所が身近に増えることが望まれる。

「仕事は辞めない」という意識を持つ

休暇制度を使って最も辛い時期を乗り越えたのは、ユミコさん(仮名、50歳)。同居の母(享年68歳)が亡くなる2008年までの8年間、介護と育児、そして仕事が重なった。

「職場には育児と介護の家族を支える休暇がそろっていたので、片っ端から使いました」(ユミコさん)

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