プロが見た「汚部屋」を放置した人々の末路 モノに埋もれた老後の大変すぎる実態
お洒落でファッションアイテムはたくさん持っていましたが、調理器具などは、ほとんどありませんでした。70代の一人暮らしで火を使うのは危ないからと、家での調理をやめ、外食や買ってきた総菜で済ませ、外出できない日は「卵かけご飯でいいのよ」と、割り切って生活していました。
一人暮らし用に買い替えた冷蔵庫の中も、買いだめはなくスッキリ。その日食べる分だけを買い、食べ切ってしまうからです。つまり彼女は、「今」を大事に、始末のいい生活を自ら選び取っているのです。その清々しい生き方は、「生前整理」のヒントにもなりました。
妻に「片づけて」と言えない男たちからの依頼急増
「生前整理」は、長年ため込んできたものを整理し、スッキリ快適な第二の人生を送るためのベース作りにほかなりません。特に、定年を機に人生が大きく変わる男性は、体力も判断力もある今のうちに、1日も早く「生前整理」に取り掛かることをおすすめします。実際、危機感を感じている方は多いようで、ご夫婦でも「妻が片づけてくれそうにないから」と、夫側からの依頼が増えています。しかし、うまくプロに依頼する理由を妻に伝えなければ、妻の逆鱗に触れるかもしれません。
妻(夫)にあれこれ言われることなく、プロに依頼せず、自分の持ち物を自分で片づける、簡単な方法を伝えましょう。
ステップ①は「モノをすべて出す」。場所を1カ所に決め、たとえば自分が使用しているクローゼットなら、中身をすべて外に出します。いかにたくさんの衣類を持っているかがわかり、片づけのモチベーションが上がります。
ステップ②は、「いま使うモノ・いますぐ使わないモノに分ける」。使用頻度を基準に、まずは1年以内に使うものを分け、その中で、普段使うもの(スタメン)、たまに使うものやストック分(控え)、年に1度しか使わないようなもの(二軍)に分けます。そして、1年以内に使わないモノ、1年以上使わなかったものは、「戦力外」に分類します。
ステップ③は、「いますぐ使わないモノ(戦力外)を段ボールに入れる」。封をして、中身の内容と入れた日付を書き、邪魔にならない場所に積み重ねておきます。結果、クローゼットの中には「いますぐ使うモノ」だけが残ります。ステップ②で分類した「スタメン」は、収納の中の出し入れしやすい場所へ収納。「控え」は、スタメンのすぐそばへ。「二軍」は、背伸びしたり深くかがんだりしないと出し入れできない場所へ。こうすれば、使い勝手も良くなり、モノを出しっぱなしにするクセも改められます。
ステップ④は「1年後に『いますぐ使わないモノ』を見直し手放す」。面白いことに、1年後に改めて「いますぐ使わないモノ」の段ボールを開けて見直してみると、「たぶん一生使わないな」と思えるようになります。1年間、まったく使わなくても生活してこられたことから、「処分していい」と自分に納得がいくのでしょう。そのまま処分するのが面倒なら、業者に段ボールごとひきとってもらいましょう。
将来に不安がない人などいませんが、人は自分が何に対して不安を抱いているのか、よくわからないもの。「生前整理」で身の回りをスッキリさせると、不思議と不安の正体も見えてきます。「モノを動かせば、物事も動き、人生も動く」というのが、私の実感です。第二の人生を幸せな空間で過ごすのか、モノに埋もれ、片づけに追われながら人生を終えるのか、決めるのはあなたです。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら