アマゾンが放つ、「リアル店決済」攻略の秘策 米国では数百の飲食店に導入、日本上陸は?
狙う市場は、もはやオンラインにとどまらない――。ネット通販(EC)で世界最大手の米アマゾンが、独自のID決済サービス「Amazon Pay(アマゾンペイ)」の展開をレストラン、小売店などのリアル店舗に着々と広げている。
アマゾンペイの提供開始は2007年。アマゾンで買い物する際のアカウント情報を使い、ほかのECサイトでも決済できるサービスとしてスタートした。アマゾンが加盟店から決済手数料(4~4.5%)を得るビジネスモデルだ。足元では全世界170以上の国・地域で年間3300万人以上が利用する、極めてポピュラーな決済手段に成長している。
「カート落ち」を避けたいEC事業者
日本でも2015年からアマゾンペイの展開が始まり、ファッションECの「ゾゾタウン」をはじめ、コジマ、ファンケル、劇団四季、出前館などのサイトで利用できる。また変わり種としては、赤十字や青山学院がアマゾンペイによる寄付の受け付けを行っている。
ネットで買い物をする人にとって、各サイトにいちいち名前、住所、クレジットカード情報などを入力することは非常に面倒だ。一方EC事業者側には、この手間をきっかけに「カート落ち」(商品をカートに入れたユーザーが、結局買わずにサイトを離脱してしまうこと)を起こしたくないという心理がある。
買い手と売り手、両方のニーズを満たす手段として、すでに多くの人がアカウントを保有しているアマゾンの決済サービスには求心力があるだろう。「世界中に3億人の顧客ベースを持つ会社は他に類を見ない」。アマゾンの米国本社でペイメントサービスを統括するパトリック・ゴティエ副社長も、他社サービスと比べたアマゾンの強みをそう語る。
そんな同社がアマゾンペイで目下開拓中なのは、オンラインを飛び出したオフラインの場、つまりリアル店舗での決済需要だ。
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