DMMが一転、シェア自転車参入を「やめた」理由 亀山氏、新規事業の判断軸は「世間の支持」

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長い目で見れば、そのうち市民権を得るサービスになっていくかもしれないけど、当面は公害のほうに注目が集まるのではないかと感じる。DMMブランド全体のイメージが悪くなれば、グループ内のほかのサービスにも影響を与える可能性がある。実際、社内のほかの部署からは反対の声も上がった。結局、「今回はメルカリさんに譲るわ」ということになった。

世間の支持を受けられるかが重要

12月20日、メッセンジャーアプリのLINEは2018年からシェア自転車のサービスを開始すると発表した(撮影:今井康一)

――社会的責任を考慮すると、ということでしょうか?

法律的には問題がなくても、世間にどう受け止められるかは気になるところ。かつては「グレーだったら渡れ」という勢いでやっていたけど、今は新規事業全体の考え方として、参入するかどうかを見極めるポイントは、世間の支持をちゃんと受けられる事業であるかということ。いくら儲かりそうな事業でも、世間に支持されなくては長続きしない。

たとえば、以前はユーチューブも法律的にグレーで、テレビ局などと鋭く対立したけど、ユーザーからの強い支持があったから生き残った。民泊のエアビーアンドビーもそう。旅館やホテルの業界は怒っているけど、一般ユーザーからすると「圧倒的に便利だよね」というサービスだから広がっている。

こういった、過去にないダイナミックなサービスが世の中を変えていくのは確かだ。でも、少しでも展開を間違えると、途中で潰されておかしくないビジネスでもある。世間の見方がどうなのかは、かなり大きなポイントだ。

――なぜ9月に「参入に向け検討開始」というリリースを打ったのでしょう?

真剣に検討してたからね(笑)。メルカリの「メルチャリ開始に向け検討を開始します」というリリースを見て、「そうか、検討しているだけでも表明していいのか!」と思って。上場企業だと、安易に発表したり取り下げたりしたら株価に影響が出るけど、うちもメルカリも非上場だし。

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