小泉進次郎の小委員会は「例外」だらけだった 自民党若手20人が大激論!舞台裏を証言する

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この発言からも、世界のリーダーや世界の動きに、日本がどう向き合うべきか強く意識しているように感じます。これから起こる変化に日本が対応し、乗り切っていくために、自分自身も役割をしっかりと果たしていきたい。そのためにも変化に柔軟に対応できるようにしていきたいと考えているのでしょう。

また、小泉さんは常に頭の中で「22世紀の国民とは何か」を模索しているように感じます。「22世紀を、政策に書き込んだのは小委がはじめて」と繰り返していましたし、10月の選挙では、「国民政党」とは何かを追い求めたといいます。22世紀の国民を考える上でのキーワードが「人生100年時代」です。

小委員会では多くの有識者を呼び、講演と質疑応答を行いました。この委員会のテーマは「社会保障」でしたが、1回目の講演テーマは「人工知能」、2回目のテーマは「教育」でした。これは、今だけではなく将来の国民がどうなっていくのかに強い関心を抱いていた証のように思います。

国への信頼回復が急務だ

――小泉議員をはじめ、若手政治家には何を期待しますか?

今回の衆議院選挙では、安倍首相が幼児教育無償化を争点に掲げて勝利しました。その結果、幼児教育無償化に向けて大きく舵が切られました。

小委員会が提言した「こども保険」はそのままの形では実現しませんでしたが、幼児教育無償化の流れができたのは、間違いなくこの提言があったからです。その意味で、彼らは大変大きな成果を上げたと言えます。

ただ、課題も見えてきました。「こども保険」に関して、社会保障をより子育て世代向けにバランスを取るという観点から私自身は賛成ですが、予想以上に世間の反対がありました。その理由を考えると、やはり国に対する国民の信頼が薄いことに行きつきます。

「国は中間搾取をするし、効率は悪いし、短いスパンでしかものを見てない」。国民がこんな風に思ってしまっていると感じます。進次郎さんも「今回の選挙は大勝したけれど、全然そんな雰囲気ではなかった」と言っていました。自民党へ期待が勝因ではなく、野党の敵失で消去法で選ばれたと自覚している議員がとても多いのです。

だとしたら、若手議員には「どうやって国民の信頼を取り返すか」、これを真剣に考えてほしいと思います。これから何をやるかということよりも、やったことに対して説明責任を果たすべきだと、私は考えます。まずは事実を正確に伝えること、その上でこういう方向に向かうのだという方針を、明快なロジックと共に伝えることが重要だと考えています。

小泉小委員会に参加していた議員たちも、今回の選挙を終え、副大臣や政務官になったり、党の要職に就いたりしています。

たしかに、小泉小委員会が開かれていた時期は、それぞれの議員は世間の人にほとんど知られていない「何者でもない一議員」だったかもしれません。しかし、今はもうそれぞれが責任のある立場になっています。その自覚をもって、国への信頼回復に全力で取り組んでもらいたいと考えています。

藤沢 烈 社会起業家、一般社団法人RCF代表理事

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ふじさわ れつ / Retz Fujisawa

1975年京都府生まれ。一橋大学卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て独立し、NPO・社会事業などに特化したコンサルティング会社を経営。東日本大震災後、RCF復興支援チーム(現・一般社団法人RCF)を設立し、情報分析や社会事業創造に取り組む傍ら、復興庁政策調査官も歴任。総務省地域力創造アドバイザー、釜石市地方創生アドバイザーも兼務。復興活動の中で小泉進次郎氏と出会い、小泉小委員会(2020年以降の経済財政構想小委員会)民間オブザーバーに就任。主な著作に『社会のために働く』(講談社)、『人生100年時代の国家戦略』(東洋経済新報社)がある。

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