カナダで戦う、DeNAとバンナムの真意 日系ゲーム大手の現地責任者を直撃

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12年7月バンクーバー現法責任者に就任した中谷氏。それまでは日本で「農園ホッコリ―ナ」など有力タイトルの開発・運営に携わっていた

ではなぜ、DeNAはバンクーバーを選んだのか。中谷氏は「税制のメリットがとても大きい」と指摘する。本記事の前編「日系ゲーム企業、バンクーバーに集う」でも触れた通り、BC州には常設事業所を持つデジタルメディア関連企業が支出する人件費のうち、17.5%を税額から控除される仕組みがある。現在バンクーバーオフィスには80人規模の従業員がおり、今後も増加が見込まれるため、こうした収益面のメリットは少なくない。

さらに中谷氏は「人材の質の高さ」を特徴として上げる。ウェブからネイティブアプリにゲームの提供方法を変えるなら、従来、日本で行ってきた開発ノウハウも変わらざるを得ない。具体的はウェブ型のゲームの場合、携帯画面を下にスクロールする縦長画面でカードを集めるカードバトルというジャンルが人気を博したが、ネイティブアプリゲームでは、一つの画面に収まった軽快な操作性などが求められる。

そんな中、「特に20代前半が考える企画は、日本であまり気付かない斬新なアイデアがある。10カ国以上から人材が集まっているため、各自の柔軟な発想が混じり合っている」と中谷氏は言う。国内のモバゲーに成長の陰りが見えるだけに、DeNAにとってバンクーバーオフィスの成長は、今後のグループの収益力をも左右していきそうだ。

産学連携に惹かれたバンダイナムコスタジオ

DeNAよりもやや遅れ今年8月からバンクーバーで業務を開始したのが、大手ゲームソフトメーカー、バンダイナムコゲームスを分社化したバンダイナムコスタジオだ。ナムコバンダイスタジオ・バンクーバーとの名称で、今年3月に子会社を設立した。

バンダイナムコゲームスを傘下に持つバンダイナムコホールディングスでは、12年2月に発表した中期経営計画の中で、「IP(= intellectual property。知的財産)軸の戦略的な出口展開」を重点戦略として掲げている。バンダイナムコスタジオは、その責任と権限を明確にするため12年4月に設立されたグループの中核会社だ。

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