「時給30万円稼ぐ」という時代はやってくるか タイムバンクが狙う「個人の時間価値」の復権
――取引所で売買されることで、価値が可視化されるようになった。個人の時間を取引所で売買可能にすることに対して、拒絶反応や批判もありましたか。
それは、もちろんありました。過去の人が持っていた価値観とまったく違うものですから。人の時間を値付けして、市場で取引できてしまうと、何か大事なものが失われる感覚があるのかもしれません。
しかし、「時給」や「年収」という概念も、人を時間で区切って買っているという点では変わらないはずです。むしろ、ざっくりと枠を大きく取ることで、個人の貴重な時間は、バルクで安く買われてしまっているという状態ではないでしょうか。
価値が1秒単位で可視化されることは怖い
批判の背景には、価値が1秒単位で細切れに可視化されることへの恐怖もあるでしょう。数式で分解され、明確に比較されてしまうのは残酷かもしれません。
しかし、分解することが可能である以上、それは必然的な世の中の流れ。自分の時間価値が上がって、やりたくない仕事をせずに好きなことに集中できる人も増えてくるので、そこはトレードオフですね。
企業はファイナンスを駆使して事業を加速させますが、ファイナンスの本質は「未来の時間を使える」こと。自社が持っていない事業を買収することもそうですし、融資だってそう。
「来年、再来年はこれだけ利益が出る計画だから、今このくらい貸してほしい」という話です。個人も時間の価値を流動化させることで、未来の時間を回して違うところに再投資するという選択肢を得ることができます。
――タイムバンクで対面でのコンサルティングなどの「リワード」を設定している人は、60分以上としている発行者が多く、かなり高額になります。こうしたリワードが実際に使用されるのは、どういった人でしょうか?
まとまった時間のリワードが使われている人は、現実世界で本当にスキルや実績があり、実需を伴っている人です。タレント的、メディア的な人はあまり使われていませんね。
ただ、タイムバンクではごく短い時間を消費する仕組みも作りました。時間販売者の方に本当に細切れで一言聞きたいことがある場合に、一問一答の形で10秒から使用できます。対面で1時間会うほどではないけど、ちょっとだけ聞きたいことがある場合に使われています。
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