HIS、「2020年売上高1兆円」への期待と不安 旅行事業のコスト構造にメスを入れられるか

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社内も揺れた。2016年11月には40代の平林朗氏が社長から副会長に”昇格”し、会長だった澤田氏が社長も兼務する体制に移行。平林氏はその後M&Aやホテル事業を担当していたが、この10月27日に辞任し、アコーディア・ゴルフの社長に転身した。

6月には厚生労働省東京労働局から労働基準法違反の疑いで、澤田会長ほか2人が書類送検されるなど、内部体制にも悩まされた1年となった。

決算と同時に公表した今2018年10月期の見通しは売上高7350億円(前期比21.3%増)、営業利益は180億円(同13.1%増)。

詳細な業績の見通しは公表されていないが、会社側によると旅行事業の部門利益は110億円(前期比25%増)、ハウステンボス単体については79億円(同5%増)の見通しだという。

ハウステンボスはHISグループの利益の半分近くを稼ぎ出すが、ここ数年は足踏みが続いている。「僕は2ケタ成長できると思うが、あえて抑えた予想を公表している」(澤田氏)。

旅行事業のテコ入れが最大の課題に

2016年11月、澤田秀雄氏は会長兼社長というトップに返り咲いた(記者撮影)

澤田氏は着々と手を打っている。

ハウステンボスについては2018年のゴールデンウィークに、一昨年買収した無人島でテーマパークを開業するほか、水上ホテルの開業も予定する。無人島ではAR(拡張現実)技術を用いて、恐竜を登場させるという。

さらに「変なホテル」などを展開する期待のホテル事業では2019年までに10棟の建設を決定。台湾や上海への進出も計画し、現30軒程度のホテルを2021年までに70〜100軒体制へ拡充する。

あまり話題になっていないが、熊本県を地盤とする九州産業交通グループが2019年夏の竣工に向け、熊本市内の中心部で大規模な再開発を実施中だ。

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