今、「WEB面接」が転職市場で増えている理由 移動ゼロ以外にある、自宅ならではの利点

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さらには自分の家で面接を受けるというケースも多くなっている。いつも生活している場所のため、リラックスして面接を受けることができるからだ。志望先の会社の会議室では、”アウェイ”で勝手がわからず、緊張した中で、面接官の質問に答えなければならないが、文字どおり”ホーム”であれば、自分のペースで話をすることができる。対面ではなく、画面を通すことで、本音で話せるという人が多いようだ。

履歴書から面接まで、将来はWEBで就活が完結するかもしれない(写真:chiiro / PIXTA)

ただ、あまりにもリラックスしすぎるというのは禁物。「基本は対面の面接と同じ。Tシャツ1枚で受けるというのではなく、きちんと面接に行くというスタンスで望んでもらいたい」と前田社長はアドバイスする。自宅の場合、画面を通して、部屋の中も相手にわかってしまう。人事担当者からすれば、そうした素の部分も含めて人物を判断することができるが、あまりにも見せられないような部屋の場合は、壁をバックにするなど多少の配慮が必要になるだろう。

また技術面の問題もクリアしておいたほうがいい。Wi-Fiなどの電波状況が悪い場所では、映像が途切れたりする場合がある。そうした接続環境については事前に確認しておくべきだろう。面接中の音声を聞き取りやすくするために、ヘッドホンなどを活用するのも手という。

面接現場をブラックボックスにしない

WEB面接に関しては、企業側にとってもメリットは大きい。前述のとおり、本音の話を聞きやすいということもあるが、WEB面接の状況を録画することで、次の面接や判定会議での参考にできるという点が大きいという。「動画を5分でも見れば、文章では伝わらない部分も確認できる」(前田社長)。面接官がどんな質問をしたかについても確認することができ、ブラックボックスになりがちな面接現場をマネジメントすることもできる。

「インタビューメーカー」では、さらに面接の進捗管理画面や、面接時にヒアリングシートを表示する、といった機能を付けている。ゆくゆくはAI(人工知能)やビッグデータを活用して、面接の様子を解析するシステムを考えているという。

こうしたWEB面接は転職情報会社を中心に導入が進んでいる。求人情報サイト大手のエン・ジャパンでは、ミドル層専用の転職求人サイト「ミドルの転職」を2017年1月にリニューアルした際、オンラインビデオ面接機能を導入し、多忙な管理職層の面談実施の可能性を広げている。採用支援システムの一環として、面接官がビデオ越しにメッセージを送る「ビデオインタビュー」機能を今年から開始し、WEBを活用した転職活動をサポートしている。

国内の新卒採用の現場では、導入事例はまだまだ少ないが、WEBによる会社説明会はかなり普及してきている。リアルタイムで中継する説明会では、チャット機能を使って質問を受けつけ、双方向のコミュニケーションが可能となっている。

まだまだ売り手市場が続く中、これまでと同じように「会社に来てもらって説明会や面接をする」だけで、人材を確保するのは難しくなっている。WEB面接など新しいツールを使い、間口を広げていくことが求められているのかもしれない。

宇都宮 徹 東洋経済 記者

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うつのみや とおる / Toru Utsunomiya

週刊東洋経済編集長補佐。1974年生まれ。1996年専修大学経済学部卒業。『会社四季報未上場版』編集部、決算短信の担当を経て『週刊東洋経済』編集部に。連載の編集担当から大学、マクロ経済、年末年始合併号(大予測号)などの特集を担当。記者としても農薬・肥料、鉄道、工作機械、人材業界などを担当する。会社四季報プロ500副編集長、就職四季報プラスワン編集長、週刊東洋経済副編集長などを経て、2023年4月から現職。

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