本音対談、若き起業家の「鈍感力」が凄すぎる 観客唖然「家がなかった」「1日で3億円流出」…
康井:そうですね。でも、仕事は仕事でしかカバーできません。資金調達も採用もそうですが、やはり「数」だと思います。1カ月で質の高い人を3人採用したいが、採用できる確率は5%とした際に、最低でも60人と会わなければならない。この「数」が重要になる。基本的に、仕事でうまくいかないときは、仕事の量で大部分カバーできると考えています。
「16時間で3億円の支払い」でもめげない鈍感力
光本:私はずっと自己資本でやってきました。最初の起業は、リーマンショックの直後。世の中の財布の紐も固く、ユニークな会社に投資しようというベンチャーキャピタルもなかった。資金調達したくてもできなかったんです。ぎりぎりの資金繰りで、会社の通帳残高が8000円しかないという事態にもなりました。今でもその通帳の写真は携帯に入れて持ち歩いています。
池見:そのどん底から「STORES.jp」が伸びたわけですね。光本さんは、2017年6月に「オンライン質屋」サービスの「CASH」を公開しましたよね。預けたいものの写真と情報を入力すると、瞬時に査定されて現金化されるサービス。公開されたとき、たった16時間で3億円のおカネを支払ったというニュース記事を読んで、これはヤバいと思っていました(笑)。
光本:あれは真っ青でした。サービスをリリースした瞬間から、想像以上に利用されたんです。結果、おカネがどんどん出ていくことになりました。夜には落ち着くだろう思ったのですが、ますます加速。「これは止めないとまずい!」と思ってサービスを停止しました。
池見:その支払いを自己資金で? 3億円も?
光本:はい、自分のおカネをばらまきましたね。
池見:いや、これはぶっとんでいますね。
光本:サービスを止めるというのは、実は大きな決断で、再開のめどがないままそうしたので、絶望的な気持ちになりました。
池見:それで眠れますか?
光本:明け方になってようやく、疲れ果てて寝ました。でも、翌朝目覚めて「自分たちが思っていた以上に莫大な需要とマーケットがあるな」というポジティブな考え方が浮かんできて、意地でも再開させるぞ、と思いましたね。
その矢先、現金と引き替えになったアイテムが、僕らのところにどんどん送られてきました。そんなに利用されると思っていなかったので、深く考えず、アイテムの送り先を自分たちのオフィスにしていたんです。
そしたら宅配業者のトラックがやってきて、1台まるごとおたく宛の荷物だけど、どこに置けばいいかなと。しかも、まだ何台分もあると。何週間もそうやってアイテムが届き続けて、およそ1万個。インターネットの会社を作ったつもりなのに、必死になって荷物運びの肉体労働ばかりしていました(笑)。
池見:光本さんのサービスには、正直嫉妬しました。誰もやっていないことをやっておられるから。
光本:どんな戦略を持ってあんなことをされたんですか、とよく聞かれるのですが、そんな戦略はないんです。その証拠が、アイテムの送り先をオフィスにしていたこと。
池見:山田さん、どうですか。
山田:僕の場合、とにかく、最初はシャツが売れなかった。熊本のアパートで起業して、初めて作ったシャツは400枚。光本さんほどじゃないけれど、シャツの詰まった段ボールが部屋に13箱ありました。これを売らないと部屋の窓が塞がって日の光も入ってこない(笑)。
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