楽天が人気プロスポーツを支援する深い理由 三木谷社長が描くブランド戦略の中身とは?

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三木谷:インドネシア、マレーシアでも多いですね。まあ、でも世界にいるんですよ。「自分はバルサファンだ」という人が3億人以上いるんですから。

山田:そのファンを買ったと考えれば、安い買い物ですね。

三木谷:計算するとどうなるか。20億人で1カ月5億円とすると、1人にロゴを見てもらうのにかかってるコストは0.25円になる。これは相当安いですよね。

しかも、クラブのオーナーになったことによる効果は、コンシューマー向けにあるだけではない。BtoB、つまりわれわれの取引先企業とか、あるいはパートナーから、今までになかったような話がいっぱい入ってきてます。たとえば世界中の携帯電話会社が組みたいと言ってきている。コンテンツパートナーになりたいということは、ハリウッドも含めて声が掛かっております。「楽天とだったらやってもいい」ということでブランド価値が飛躍的に向上したのは間違いない。それを本当にちゃんとビジネスにできるかどうかっていうのは、今後の僕たちの手腕です。

世界トップクラスのクラブと、世界トップクラスのバスケットボールチーム。これ両方やってるというのは、やっぱりなかなかシナジー高いんですよ、実は。1チームでもすごいんだけど、2つ合わせると1+(たす)1が3みたいになる。「彼はバルサとウォリアーズと両方やってるんだよ」って紹介されると、みんな「おお! マジ?」みたいな顔をしますからね。効果はあるだろうなと思ったけど、想像以上でしたね。

オーケストラの理事は名誉職ではない

三木谷浩史(みきたに ひろし)/1965年神戸市生まれ。1988年一橋大学卒業後、日本興業銀行に入行。1993年ハーバード大学にてMBA取得。興銀退職後、1996年クリムゾングループを設立。1997年2月エム・ディー・エム(現・楽天)設立、代表取締役就任。同年5月「楽天市場」を開設。2000年にジャスダック上場。2012年6月に発足した一般社団法人新経済連盟の代表理事を務める(撮影:今 祥雄)

山田:もう1つ伺いたいのが音楽関係です。東京フィルハーモニー交響楽団(以下、東フィル)の理事長を2011年にソニーの大賀典雄さんから引き継ぎました。オーケストラでも楽天ならではの取り組みはしていますか。

三木谷:とにかく自由な発想でどんどん新しいことをやっていきましょう、音楽監督は若くて先進的な考え方の方にしよう、ということで進めてもらっています。理事については、名誉職のようなことにはせず、実際におカネを集めてくれる人にしよう、ということにしました。そういうことをどんどんやっていった結果、東フィルの組織も大きく変わり、日本では圧倒的な地位を築きつつあるのではないかと思います。

山田:名誉音楽監督のチョン・ミョンフンさんが東フィルのことを絶賛していますね。

三木谷:現在、チョン・ミョンフンのほかに首席指揮者のアンドレア・バッティストーニ、特別客演指揮者のミハイル・プレトニョフの3人が主軸になっています。会社の雰囲気みたいなものを彼らがつくっていますよね。ヨーロッパの本当の超一流オーケストラについて比べると、まだまだ改善すべきポイントはいっぱいあると思うんですけど、少なくともそちらの方向に向かっている。たとえば、2015年にはCNNiReportで東フィルは「世界で最も優れたオーケストラ TOP10」に選ばれたので、それは大変よかったかなと思っています。

山田:12月には日中国交正常化45周年を記念したコンサートを行います。

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