楽天が人気プロスポーツを支援する深い理由 三木谷社長が描くブランド戦略の中身とは?
三木谷:インドネシア、マレーシアでも多いですね。まあ、でも世界にいるんですよ。「自分はバルサファンだ」という人が3億人以上いるんですから。
山田:そのファンを買ったと考えれば、安い買い物ですね。
三木谷:計算するとどうなるか。20億人で1カ月5億円とすると、1人にロゴを見てもらうのにかかってるコストは0.25円になる。これは相当安いですよね。
しかも、クラブのオーナーになったことによる効果は、コンシューマー向けにあるだけではない。BtoB、つまりわれわれの取引先企業とか、あるいはパートナーから、今までになかったような話がいっぱい入ってきてます。たとえば世界中の携帯電話会社が組みたいと言ってきている。コンテンツパートナーになりたいということは、ハリウッドも含めて声が掛かっております。「楽天とだったらやってもいい」ということでブランド価値が飛躍的に向上したのは間違いない。それを本当にちゃんとビジネスにできるかどうかっていうのは、今後の僕たちの手腕です。
世界トップクラスのクラブと、世界トップクラスのバスケットボールチーム。これ両方やってるというのは、やっぱりなかなかシナジー高いんですよ、実は。1チームでもすごいんだけど、2つ合わせると1+(たす)1が3みたいになる。「彼はバルサとウォリアーズと両方やってるんだよ」って紹介されると、みんな「おお! マジ?」みたいな顔をしますからね。効果はあるだろうなと思ったけど、想像以上でしたね。
オーケストラの理事は名誉職ではない
山田:もう1つ伺いたいのが音楽関係です。東京フィルハーモニー交響楽団(以下、東フィル)の理事長を2011年にソニーの大賀典雄さんから引き継ぎました。オーケストラでも楽天ならではの取り組みはしていますか。
三木谷:とにかく自由な発想でどんどん新しいことをやっていきましょう、音楽監督は若くて先進的な考え方の方にしよう、ということで進めてもらっています。理事については、名誉職のようなことにはせず、実際におカネを集めてくれる人にしよう、ということにしました。そういうことをどんどんやっていった結果、東フィルの組織も大きく変わり、日本では圧倒的な地位を築きつつあるのではないかと思います。
山田:名誉音楽監督のチョン・ミョンフンさんが東フィルのことを絶賛していますね。
三木谷:現在、チョン・ミョンフンのほかに首席指揮者のアンドレア・バッティストーニ、特別客演指揮者のミハイル・プレトニョフの3人が主軸になっています。会社の雰囲気みたいなものを彼らがつくっていますよね。ヨーロッパの本当の超一流オーケストラについて比べると、まだまだ改善すべきポイントはいっぱいあると思うんですけど、少なくともそちらの方向に向かっている。たとえば、2015年にはCNNiReportで東フィルは「世界で最も優れたオーケストラ TOP10」に選ばれたので、それは大変よかったかなと思っています。
山田:12月には日中国交正常化45周年を記念したコンサートを行います。
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