20~30代が出世を望まなくなってきた本質

「わたし、管理職になりたくありません」

同時に、若手・中堅は管理職の大変さも理解しています。役割があいまいになる中で、成果とリスクへのプレッシャーが高まり、細かな管理をしなければならなくなり、自分たちメンバー以上に余計なことに振り回され、業務負荷を掛けられていく。しかも、そうやって頑張っても金銭的にも時間的にも報われない。働き方改革も仕事の仕方が変わらなければ、部下がやりきれない仕事を引き受けなければならなくなる。

部下から見ると、今の管理職は厳しくなるビジネス環境のしわ寄せを一身に抱え込まされている存在に見えています。にもかかわらず、それに見合うだけの報酬を得られない。おカネという報酬だけでなく、管理職だからこその喜びや意義ある貢献という報酬が見えてこない。自分の生活を犠牲にしてまで、そんな負荷を背負う存在にはなりたくない。これが2つ目の理由です。

若手世代との価値観のギャップを埋められるか?

ただ、もう1つ、より根幹にある大きな理由があります。それは、若手世代が働くうえで重視している価値観、考え方が大きく変化しているということです。

先ほどのリクルートマネジメントソリューションズの「新人・若手の意識調査」によると、若手世代が働くうえで重視しているのは、「収入が安定している」「失業の心配がない」「健康の心配がない」といった安定・安心にかかわる項目。その次にくるのが、「仲間と楽しく働けること」。これが、若手世代が働くうえで重視する上位の4項目です。

逆に、下位2項目は「責任者として采配が振れること」「世間からもてはやされること」になっています。若手世代にとって、自分が上に立つ、自分が目立つことは、大切なことではないということです。

日本生産性本部が新入社員に毎年実施している「働くことの意識調査」でも、2003年以降から「働く目的」の最上位が「経済的に豊かになる」ことや「自分の能力をためす」という項目ではなく、「楽しい生活をしたい」となっています。人生を楽しく、充実していきたい。そのとき、何も上に立つこと、目立つことが、人生を楽しく生きることにつながるとは思えない。こうした意識が見えてきます。

この回答を見て、「だから最近の若いやつらはダメなんだ」と思う人も多いでしょう。「仕事なんてそんな甘いものじゃない」「生活を犠牲にするから給与がもらえるんだ」「責任ある立場になることで人は大きく成長するんだ」。今の40代以上はそういう考え方を持っている人も少なくないかもしれません。

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