「パワースポット」、メディアの仕掛け人たち 精神世界の追求から、恋愛、癒しへと向かった
2009年末、手相芸人の島田秀平が2つの年末特番に出演し、明治神宮御苑の清正井(きよまさのいど)を携帯の待ち受け画面にして運気が上がったという芸人の体験談を語った。ほどなく、清正井に行列ができ、パワースポットブームが出来(しゅったい)する。さまざまなメディアで特集が組まれ、次々とガイドブックが出版され、旅行パック商品(エースJTBのスピリチュアリスト暁玲華(あかつきれいか)特別監修「パワースポットへ。」など)も売り出された。
聖地観はより広く受容されている
ブームの最中の2010年、朝日新聞では「パワースポットを信じますか?」というアンケートが掲載された(2010年6月12日付朝日新聞「土曜版be」)。回答者数5224人中、「はい」と答えた人は34%、「いいえ」は66%。ただし、「いいえ」の回答者には、「パワースポットの存在は、全然信じていないが、以前、伊勢神宮へ行ったとき、清浄で力強い気があふれているように感じた。それに触れただけで、ストレスが消え去り、癒されたのは確か」(東京、44歳女性)、「聖地とされる場所には、そこを参拝する人たちの心情や信念が集積している。それに共鳴すると、霊験あらたかな心持ちになれるのだろう」(京都、59歳男性)という人もいた。
ブームとはピークアウトするものである。清正井の大行列はなくなった。しかし、パワースポットの人気は衰えていない。「はい」は34%にとどっまっても、パワースポットのイメージを支える〈聖地〉観は、より広く受容されている。衰えない人気の底力は、このあたりに起因するのであろう。
(文中敬称略)
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