日本株をガッツリ買っている外国人の「正体」 米国に出張してわかった「2つの深刻な真実」
もう一つ、非常に印象的だった、というか、驚いたのは、現地で取材した長期投資家や、そうした投資家と普段接している人たちから、「米系の長期投資家で、日本株への資金配分を本格的に増やしたところなど、自分が知っている限りでは、聞いたことがない」と言われるばかりだった、ということだ。
米系の長期投資家は、日本株に積極的になっていない
筆者は「日本の報道では、衆議院選挙の結果、安倍政権の長期化が確実になったことや企業業績の改善など日本の実態好転を踏まえて、『海外投資家が日本の現物株を長期的な観点から、しっかり買い上げている』と伝えられているが」と水を向けてみた。
すると、「そんな報道は、米国の投資家に限っては、まったくの間違いだね」と即座に否定された。
一部、ある米系の長期投資家が、日本株への資金配分を増やす意向で、その資金の運用を外部委託したいため、アクティブ運用ができる運用会社を募集する、という話があったと聞いたが、資産運用業界では、「えっ、日本株買うの?大丈夫?」と話題になっていたとのこと。
10月の日本株への、海外投資家の地域別にみた投資額をみると、欧州勢の買いが目立つ、という形だが、やはり米国の長期投資家は日本株投資には消極的だったのだろう。また欧州勢の売買も、裁定取引が主流だったということなので、欧州の長期投資家も日本株をしっかり買い上げていたかは疑問だ。
これまで当コラムで述べていたように、特に10月以降進んだ日本株の上伸は、NT倍率(日経平均÷TOPIX)の上昇にも表れているように、海外短期筋の日経平均先物買いが主軸だった、と考えている。米国での取材内容は、そうした観点を裏付けていたと言えるだろう。
このように、米国で取材した内容は、1)米国株価の堅調推移が続いているが、「わかっちゃいるけどやめられない」状態に支えられたものであり危険、2)最近の日本株の上昇は、海外投機筋の買いに支えられた部分が大きく、次の買い手がしっかり現れなかったり、外部からの悪材料が振ってきたりした際の、脆弱性が懸念される(買い手が一気に反対売買すると脆い)、という2点を裏付けるものだった。
では、いつ、そうした脆弱性が表面化し、株価が大きく下ブレするかについては、これまで当コラムでは年内の可能性を唱えてきた。それは今も変わっていない。だが、2018年にずれこむこともありそうで、株価調整のタイミングは不透明化していると感じる。
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