なぜか中国にモノ申せない韓国の「恐中症」 心配性な韓国、「通貨スワップ」延長の舞台裏

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しかし、冒頭の安教授は、「(韓中関係は)よくならないはずがなかった」と話す。

「韓中の葛藤が深まれば米国に隙をみせることになります。2国ともルーザー(敗者)になってしまう。関係は改善されるようになっていたのです。それにしても、韓国ではどうしてそれほど(中国に対して)心配するのでしょう。韓中通貨スワップについても悲観的で、延長されないはずがないと言ってもなかなか信じてもらえませんでした」

人気観光地、明洞にも中国人観光客の姿が(筆者撮影)

観光スポット・明洞の雰囲気も変わったのだろうかと思い行ってみると、小売業者の人たちは中国人の団体観光客の訪韓に期待を膨らませている様子だった。

マフラーやスカーフ、カバンにつけるアクセサリーなどを売る金さんは、「東南アジアからのお客さんはマフラーのようなものは買いませんから、これから中国人のお客さんが増えれば売り上げにつながるかもしれない」と話していた。

中国にモノをいえない韓国

前出の全国紙記者は言う。「THAAD配備を巡る葛藤でも、韓国の”恐中症”が再び、顔を覗かせた格好となりました。中国に対しては、過去のニンニク紛争(中国産の冷凍品と酢酸で調整したニンニクの関税を高めるセーフティガード措置をとると中国は韓国製の携帯機器などの輸入を暫定的に中断した事件)などの苦い経験もあり、中国に対してはなぜかモノを言えない韓国になってしまう。報道する側にも、もう少し冷静な視線が必要な時かもしれません」

11月14日、中国の外交部関係者が、「THAADの最終解決は撤収」(中央日報11月15日)であることを明らかにした。韓国では、しばらくこの問題は「封印された」という雰囲気だったが、中国との「齟齬」がまた頭をもたげた時、韓中の関係はどう動くのか。12月には2015年に締結された韓中FTA(自由貿易協定)の第2段階の交渉が始まる。一喜一憂の韓中ドラマはまだまだ続きそうだ。  

菅野 朋子 ノンフィクションライター

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かんの ともこ / Tomoko Kanno

1963年生まれ。中央大学卒業。出版社勤務、『週刊文春』の記者を経て、現在フリー。ソウル在住。主な著書に『好きになってはいけない国』(文藝春秋)、『韓国窃盗ビジネスを追え』(新潮社)がある。

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