企業物価は9年ぶりの上昇率、その効果は? 消費者物価上昇率はなかなか上がらないのに

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ただし、現在の円安、原油高による企業物価の上昇は10月がピークになるだろう。為替の影響に関しては、11月には剥落してくる。そもそも現在の円安が始まったのは昨年11月のアメリカ大統領選挙がきっかけだからだ。トランプ政権が発足した際には為替は1ドル=102円前後から2週間で113円台にまで円安が進んだ。

原油に関しても、今後を考えれば下落トレンドになる可能性が高い。価格はすでにアメリカのシェール企業の採算ラインを突破しているとみられ、今後はシェール企業が生産増加に移行する可能性が高い。アラムコ上場を控えて生産調整を行なっているサウジアラビアも、来年には、調整を弱める可能性がある。

企業物価もそろそろピークアウト

一方、大きな需要を持つ中国では、以前から懸念されてきた党大会終了によるインフラ投資抑制の動きが出始めている。11月16日には、内モンゴルで、46億ドルの地下鉄プロジェクトを停止したとの報道がなされている。今後もこうした投資抑制の動きが出てくることが予想され、原油は需要サイドからも下落の可能性が高い。

当然、原油以外の非鉄金属などでも、中国の減速はリスクだ。企業物価で寄与度の高い金属系、電子部品系でも、中国向けの需要は大きい。銅価格などは共産党大会前をピークにすでに下落が始まっている。

以上を踏まえると、今後の企業物価は、10月ほどの高水準は維持できないだろう。いずれにしろ、企業物価から消費者物価への波及は期待できなくなる。アベノミクスが一定の成功を収めて日銀が緩和の出口を目指すという結論は、まだ当面、出そうにない。

藤原 宏成 東洋経済 記者

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ふじわら ひろなる / Hironaru Fujiwara

1994年生まれ、静岡県浜松市出身。2017年、早稲田大学商学部卒、東洋経済新報社入社。学生時代は、ゼミで金融、サークルで広告を研究。銀行など金融業界を担当。

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