1口1万円、「小口不動産投資」で何が変わるか 新興企業トップにロングインタビュー

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岩野:個人がコーポレートファンディングのような投資をしようと思っても、現状ではそういう商品がありません。日本のREITのコンセプトは長期保有してその利益を配分するビジネスモデルなので、1年や3年でバリューアップする機関投資家向けの商品のようなものはないんです。

株式やFXといった金融商品は、ネットの力でよりフェアなマーケットになっていますよね。機関投資家も個人も、デイトレードをした際のトレーディングの格差ってほとんどないのに、不動産だけは非常に格差が大きいわけですよ。

われわれは不動産の世界においても個人が参加できるようになるように、情報公開も含めてフェアなマーケットを作りたいと考えています。そのための仕組みづくりをしているんです。エクイティ型の商品にしても、個人はワンルームマンションを買って、アパートを買ったら次はREITしか投資対象がありません。この間がないんですね。銀座のオフィスを100万円で買うという選択肢があってもよいだろうと思うのですが、今はその選択肢がない。そこで、クラウドファンディングを通じたマーケット作りをしてその間を埋めていきたいんです。

村上:不動産投資を長年見てこられた、御社の経営チームの方々ならではの視点ですね。世の中の不動産の中には、個人にとって投資しづらいものがあると。日本にJ-REITが登場してから15年余り経つわけですが、次の段階として新たなマーケットが立ち上がるのは必然的な流れなのかもしれませんね。

岩野:そうですね。海外の動向、ITのコンセプト、不動産の特性といった点から考えても、確実に作ることのできるマーケットだと考えています。ただ、拙速に進めると、ファンドビジネスが全部クラウドファンディングに取って代わられるリスクもありますし、悪意を持ったクラウドファンディングの事業者がいたら、個人投資家から集めたおカネを持ち逃げされてしまうリスクもあります。いろいろ影響が大きい変化ではあるので、監督省庁がそうしたリスクを気にしているのは十分に理解しています。われわれとしては慎重に広めていこうと思っています。

着実に広がる不動産クラウドファンディング市場

村上:御社の「成長性に関する説明資料」を見ると、今後はエクイティ投資型クラウドファンディングに参入していくと述べられていますよね?エクイティ型は貸付型に比べてリスクも高い一方で、リターンもより大きな投資商品であり、ニーズも非常に大きいのではないかと思います。どうしてエクイティ投資型よりも先に貸付型からクラウンドファンディング事業を始められたのでしょうか?

ロードスターキャピタル「成長性に関する説明資料」より
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