1口1万円、「小口不動産投資」で何が変わるか 新興企業トップにロングインタビュー
不動産屋からクラウドファンディング事業者へ
村上:中国系IT企業であるRenrenが、大株主として御社の40%弱の株式を保有されていますね。この規模で中国系テック企業が日本のスタートアップに投資をするのは珍しいことですし、不動産関係の事業というのも非常に興味深いです。Renrenから出資を受けた際の経緯を教えていただけますか?
岩野:たまたまのご縁なんです。ある時、後輩に中国人の投資家を紹介されました。それがRenrenの社長だったんです。「日本の不動産に興味があるらしいから相談相手になってほしい」と頼まれたのが始まりです。われわれもその頃、アセットマネジメントのビジネスをするなら投資家が必要だという話はしていたので、彼らが投資家として資金を提供してくれればいろいろなディールもできるだろうと考えました。それで彼らに、日本の不動産市場は今投資に値するタイミングであり、ロードスターキャピタルには日本の不動産業界へのネットワークがあるといった説明をしたところ、彼ら自身は不動産の目利きができないから、日本の不動産ではなく不動産会社そのものを買いたい、という話になったんです。ただし、日本では売りに出ているような不動産会社は希有であり、その結果、われわれの会社を買いたいという話になりました。当時のわれわれにはそれほどアセットもありませんでしたし、買っても仕方がないと話したのですが、結局、彼らが10億円で当社の株式の約半分を取得し、大株主になりました。
村上:Renrenは不動産企業ではなく、IT・インターネット企業ですよね。なぜ日本の不動産に興味を持ったんですか?
岩野:おっしゃるとおり、彼らの会社はIT企業なのですが、低金利が続いている中で、不動産市況の回復が始まっている日本は魅力的に映ったのだと思います。さらに不動産とITを融合できないかと相談が進んでいる中で、彼らがアメリカのFundriseというクラウドファンディングの会社に投資することが決まっていたんです。その流れで「君たちも不動産のクラウドファンディングをやればいい。日本では誰もやっていないし」ということになったんです。
村上:予想外の展開ですね。中国企業らしい、大胆さとスピード感です。とはいえ、当時のメンバーでは不動産投資やコンサルティングのノウハウはあっても、ITやクラウドファンディングについてはノウハウがない分野だったわけですよね?