1口1万円、「小口不動産投資」で何が変わるか 新興企業トップにロングインタビュー
村上:飲食店とは意外です。不況下で将来のマーケットの回復を見据えて、実績のある不動産業を始められたのですね。
岩野:ただ2人だと金融商品取引業などのライセンスの取得も難しいですし、男性2人で会社を作ってケンカ別れするケースも見ていたので、もう1人必要だと思っていました。ちょうどその時期に、同じゴールドマン・サックス・リアルティにいた中川も退職していたので、管理部門に強い彼女を誘うことにして、3人で会社を作りました。
村上:創業時点で事業モデルはどの程度見定めていらっしゃったのでしょうか?
岩野:創業したのが2012年の3月ですが、最初はガツガツ仕事をするよりも、肩の力を抜いて自分たちにできることをやろうと考え、1~2年の間はコンサルタントや仲介業のような、いわゆるフィービジネスを営んでいました。それなりに売上はありましたが、今の業態とは異なっていましたね。
コーポレートファンディング事業とは?
村上:その後、主力事業の1つであるコーポレートファンディング事業を展開されたわけですね。こちらはどういった事業でしょうか?
岩野:コーポレートファンディング事業は、弊社がファイナンスをして不動産に投資する、いわゆる不動産投資業です。この事業には仕入れのルートと販売のルートがあり、ちゃんと目利きができれば、実はそれほど難しいビジネスではありません。不況になったら損するのではないかと言われますが、きちんとしたネットワークがあれば、リスクは限定的と考えています。
村上:不動産の中でもユニークなゾーンを選別して投資されていますね。
岩野:そのとおりです。大手不動産会社が買うような何百億円という物件は数も限られており、競合が激しくなりますが、10億円や20億円という規模のビルは物件数も非常に多いです。そうした中には相続が発生していたり、会社をたたまなければいけなかったり、いろいろな理由で物件を売り急いでいる場合もありますし、市場で適切に評価されていなかったりする場合もあります。そこでビジネスが成立すれば非常に収益性が高いんです。たとえば、エクイティの利回りで20%くらいを求めるというのは、今の市場環境下であればそれほど難しくはないと考えています。