J1鹿島の地元「神栖」がハコモノ行政に大揺れ

19日の市長選は「神栖の乱」の幕切れになるか

11月上旬に現場を訪れると、基礎を作っている真っ最中だった(記者撮影)

それは災害時の安息所か、はたまた無用のハコモノか――。

公共施設の建設可否をめぐり、茨城県の神栖(かみす)市が揺れている。同市は千葉県との県境に位置し、国内屈指のコンビナートである鹿島臨海工業地帯を抱え、潤沢な税収を後ろ盾にした手厚い行政サービスに定評がある。

利根川を挟んだ対岸の千葉県銚子市からも移住者が相次ぐほどで、『都市データパック 2017年版』(小社刊)の住みよさランキングでも全国814市区中、41位と上位に位置する。

そんな神栖市で争点になっているのが、2019年6月に開業予定の防災アリーナだ。市内中心部の神栖中央公園内に設置予定で、今年5月に着工し、体育館や音楽ホール、プールなどの複合施設で、スポーツ大会や音楽イベントの舞台となるほか、「災害時には避難所や救護スペースとしての役割も担う」(同市施設管理課)という。総工費は約121億円を見込む。

防災アリーナの建設計画は、足掛け10年以上の巨大プロジェクトだ。2006年に国の研究機関の跡地(約21.5ヘクタール)の払い下げが決まり、広大な土地の活用策として公園が整備され、さらにその一画に防災アリーナが建設されることとなった。

住民投票でまさかの"建設見直し"

ところが、この市の命運を懸けたこの構想に「待った」がかかった。10月1日に実施されたアリーナ建設をめぐる住民投票で、規模縮小を求める票が過半数にのぼったのだ。

「音楽ホールもプールもすでに存在する。重複する建設はいらない」と、住民投票を請求した市民団体「かみす市民の会」共同代表の伯耆(ほうき)進氏は力を込める。

「ハコモノにお金をかける前に、地域医療を充実してほしい。救急車を呼んでも、病院に搬送されるまで1時間もかかる現状は異常だ」(同氏)

氏が問題視するのは、アリーナにかかる費用だ。市によれば、建設費と15年間の運営費の合計は171億円。昨年秋にアリーナの詳細を知り、その巨額の建設費に驚いた。すぐさま地元有志とともに見直しの声をあげ、再考を求める署名運動を始めた。

次ページ市は住民投票の結果を無視
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ブックス・レビュー
  • 就職四季報プラスワン
  • 映画界のキーパーソンに直撃
  • 競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
電池開発でノーベル化学賞<br>吉野彰氏が示した「危機感」

受賞会見とともに、リチウムイオン電池の開発の歴史と当事者の労苦を振り返る。世界の先頭を走ってきた日本も、今後および次世代型の市場では優位性が脅かされつつある。吉野氏率いる全固体電池開発プロジェクトに巻き返しの期待がかかる。