米国の「小さな不安」が日本株急落につながる あまりに無警戒だった市場に怪しげな兆候

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もしそうした解説が真実で、長期投資家がしっかりと個別現物株に買いを入れていれば、「一部の」先物売買で、全体相場がこれほど乱れ動くことはなかっただろう。

すなわち、この9日の値動きは、業績相場だと言われてきたこれまでの上昇相場が、実は、海外短期筋が、企業収益の堅調さを「口実」として日経平均先物を吊り上げてきたことによる、極めて脆弱なものであったことを、如実に示したのではないだろうか。

誤解をしていただきたくないのだが、決して、日本の企業業績が悪いと主張しているわけではない。また、内外の長期投資家でも、そうした収益実態に着目して、長期的な観点から現物買いを入れている向きはあるだろう。また、真の業績相場は来ない、と予想しているわけでもない。このまま企業収益が押し上がり続ければ、好業績銘柄への現物買いが市場全体に広がる形で、株価水準が底上げされていくだろう。

ただ、そうした真の業績相場が実現するのは、主に来年の2018年であり、その時は日経平均株価も2万3000~2万4000円に着実に手が届こうが、今年はまだ少し早かっただけだ、という解釈だ。株価水準がいったんかがんだ方が、来年さらなる高みに達するだろう。

米国では法人減税実施に対する疑念が広がりつつある

さて、悪材料の「発生源」となりそうな、米国の状況だが、「ようやく」懸念材料が市場に反映されつつある。

焦点はトランプ政権の経済政策のうち、やはり減税案だろう。個人所得税や地方税の税額控除などを巡る議論は軽視できない。だが、やはり、米国株式市場にとっては、企業の税引後利益に直接影響を与える、連邦法人減税が最大の注目点だ。

これまでの税制改革案や、それを含む予算の全体像については、大統領と共和党指導部による当初の減税案発表、その後の下院、上院での予算決議可決と、薄氷の上を想定以上に順調に進んできた(「薄氷」というのは、たとえば上院での可決が51対49という僅差だったからだ)。

その余勢を駆ってか、11月2日(木)に下院共和党から、減税法案が具体的に公表された。一時は、財政に配慮し、連邦法人税率を、現行の35%から20%に引き下げるが、3年かけて毎年5%ずつ低下させる、という案が検討されていた模様だ。しかし最終的には、2018年に一気に20%に下げるという案でまとまり、ここまでは株式市場にとって悪材料ではなかった。

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