米国の「小さな不安」が日本株急落につながる

あまりに無警戒だった市場に怪しげな兆候

こうした長期国債やジャンク債の動きは、まだ大騒ぎするようなものではなく、じわりとしたものにとどまっている。だが、「じわり」がいつ「ドカン」になるかは、要注意だ。米ドル相場も、今のところは「米長期金利上昇→日米金利差拡大→米ドル高・円安」という解釈が優位だが、いずれ「米長期金利上昇(米長期債価格下落)→米株安、米ジャンク債安→米国から他国に資金逃避するとの懸念→米ドル安・円高」に化ける恐れがある。

ただ、決して米国経済や企業収益が悪化するわけではない。もともと減税などなくても、米国の経済実態は堅調だ。問題は米国株の買われ過ぎにあり、もし年内に見込んでいるような大幅な米国株価の下落が生じ、買われ過ぎが解消されれば、そこから来年には、米国株価の上昇とそれに伴う米ドルの上昇が再度進むと予想される。

サウジアラビアを巡る中東情勢も懸念要因に

このほか、米国については、12月8日(金)に再度期限を迎える、暫定予算の策定や債務上限の引き上げ問題、人事面では囁かれているレックス・ティラーソン国務長官の辞任説、そしてウィリアム・ダドリーNY連銀総裁の突然の辞任表明(本人はだいぶ前から考えていたと言ってはいるが)など、不安の種は次々と湧き起こっている。

だが、足元では、サウジアラビアを巡る中東情勢も不安視されつつある。「アラビアのバフェット」と呼ばれ、米国株にも投資を行なってきた、アルワリード・ビンタラール王子を含む、多数の王子や現役閣僚の拘束が11月5日(日)に行なわれたことは、将来の権力移譲を巡っての反対派一掃であるとして、驚きをもって迎えられた。

それ以上に、同4日(土)に、イエメンから、サウジアラビアの首都リヤドに向けてミサイルが発射された(サウジアラビアが迎撃し、けが人はない)。サウジアラビアは、このミサイルはイラン製であり、イランがイエメンの反政府派を支援して起こった「戦争行為」であると、強く非難している。サウジアラビアとイランが全面的な戦争状態に陥るとはにわかには見込みにくいが、地域不安定化の要因だとして、世界市場の波乱材料となる恐れがある。

加えて、こうした中東情勢を背景として、原油価格の上昇が進めば、ガソリン価格や暖房油(米国などのセントラルヒーティング用の油)価格の上昇を通じて、景気圧迫要因となりかねない。

以上のように、年内の日本株を含む内外市場は、下値リスクが高いと予想するが、目先の日本株は、日経平均先物を巡る「空中戦」が持続する可能性が高く、上にも下にも大きく振れると懸念される。外れることが高いものの、あえて方向性を示すために今週の予想レンジを述べれば、日経平均は、2万1800~2万2800円で推移すると考える。

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