パキスタンの北朝鮮外交官がハマった酒密売 ボルドーワイン1万0542本を輸入
ソウルの関係筋によると、パキスタンには、イスラマバードとカラチに計12─14人の北朝鮮外交官が駐在しているとみられる。パキスタン中央銀行のデータによると、北朝鮮とパキスタンとの公式な貿易は2016年8月以降停止しており、なぜこれほど多くの外交官が必要なのかいぶかしむ声が外交筋の間で上がっていた。
パキスタン外務省は、北朝鮮大使館に駐在する外交官の規模について他国から圧力があることに関する質問には回答しなかった。
怒りと動揺
北朝鮮外交官のHyon氏は、10月4日に中国出張から戻ってイスラマバードの自宅が窃盗被害に遭ったことを発見すると、すぐさま近くの警察署に被害を届け出た。
「彼は怒り、動揺していた」と、Hyon氏から事情を聞いた前出の警察官Hussain氏は振り返る。「そして、非常に心配していた」
ロイターが確認した警察書類によると、Hyon氏は警察に対し、ウィスキー「ジョニー・ウォーカー・ブラック・ラベル」1200本、ワイン200ケース、ビール60箱、テキーラ数十本、ダイヤモンド2つ、現金3000ドルが盗まれたと説明した。闇市場では、ジョニー・ウォーカーのウィスキー1本は80ドルで取引されており、1200本は9万6000ドル相当になる。
Hyon氏と北朝鮮大使館は警察に対し、アルコール類は合法的に輸入されたものだと説明し、それを証明する書類も提示したという。
ロイターが確認した外務省の書類によると、事件から1週間後、北朝鮮大使がパキスタン外務省の儀典担当官に面会し、Hyon氏が盗まれた品の返却を求めた。
外交特権を持つとみられるHyon氏が捜査対象となっているかは不明だ。
ロイターが確認した書類によると、北朝鮮大使館は2016年3─12月、4度にわたって酒類の輸入注文を出している。この書類からは、大使館の外交官が個人的に必要とする合理的な量をはるかに上回るアルコール類を輸入している大使館の実態が浮かび上がる。